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米国がEUの「有機農業政策モデル」に大反証 ~どうするEU追随の日本~
日本は、EUが世界への輸出を目論む「有機農業政策モデル」(Farm to Fork Strategy)に追随し、「みどりの食料システム戦略」を策定。一方、米国はEUの有機政策は「農業を衰退させ、地球を養う責任を放棄」と批判する。米国は具体的にどんなロジックでEUに反証したのか? トランプ政権時の農務大臣演説を浅川芳裕氏が翻訳・抜粋したツイートをもとに紹介する。
食料増産と環境維持を両立する最善の農業手法とは
世界の人口は増え続け、2050年には100億人に達すると言われている。そのため環境の健全性は維持しながら、増え続ける世界人口(食のレベルを含む生活水準も向上していく)を持続的に養うのに十分な食料生産が欠かせない。米国とEUはその両立実現に向けた最善の農業手法について意見が異なる。米国は、世界中の農家が「生産性を向上させる現代農業の技術的進歩や工夫を取り入れる必要がある」と考えている。
生産性向上の技術革新が唯一の方法
実際、世界の農家は生産性向上の技術革新を取り入れることで、過去90年間、食料の生産量400%増加を9%も少ない農地面積で達成し、世界の人口増に対応しながら環境負荷の軽減と利益を上げることに成功してきた。
貧困層激減・社会の持続可能性を優先
米国は、社会の持続可能性を優先する考えである。1950年には世界人口の72%が貧困ライン以下で暮らしていたが、現在では貧困ライン以下で生活する人は世界人口の10%以下に激減している。この劇的な変化は農業生産性の向上が大きな要因で、農家がより多くの食料を生産し、それをグローバルに取引することにより、世界中の消費者に直接利益をもたらしたとする。環境や経済の持続可能性が向上しても、消費者が安全で高品質な食品を食卓に並べることができなければ意味がない。
米国の農家は、イノベーションとテクノロジーを活用することで、より少ない資源で生産性を飛躍的に向上させてきた。より少ない資源でより多くのものを生産することを優先した結果、持続可能性という課題の3つの側面―「環境・社会・経済」のすべてに取り組むことができるのだ。
EUの戦略は高コスト・低生産性の手法
では米国とアプローチの異なる、EUの有機農業政策モデルの「Farm to Fork (農場から食卓へ)戦略」はどうか。EUの農業戦略は持続可能性を損なうだけでなく、欧州農家から技術ツールを取り上げて農家の競争力を低下させる恐れがあり、「高コスト・低生産性の“レシピ”(手法)」と米国はみている。
イノベーションを阻害すれば、農家の成長は妨げられる。米国はEUが健全な科学ではなく、不正確な世間の認識に基づく政策がEUの勤勉な農家と世界の消費者に不利益をもたらすことになると危惧している。この指摘は日本の「みどりの食料システム戦略」にも当てはまるだろう。
筆者AGRIFACT編集部 |