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5. 食品添加物なしにはつくれない食品がある【食品添加物をめぐる重要な10項目】
食品を製造するときに、固有の食品添加物を必須とするものが多い 。豆腐を固める「に がり」、中華麺に色と食感を与える「かんすい」、酵素などが代表例としてあげられる。豆腐や中華麺など、食品添加物がないと作れない食品も多い。消費者の無添加志向が高まっているが、保存料の使用を減らすと、食品の賞味期限が短くなり、品質を保持するために冷凍・冷蔵技術を取り入れる必要があるため、廃棄や流通などのコストが増大する。保存料であるソルビン酸や同カリウムの使用を5%減らすと、消費者余剰(消費者にとってのメリット)が1,773億円減少するという試算もある。
衛生的で品質の高い食品を効率よく製造するために、ほとんどの加工食品には、食品添加物が使われています。みそや豆腐などの伝統食品はもちろん砂糖やサラダ油、ヨーグルトなども食品添加物を使わなければ、うまくつくることができません。
(1)食品加工の歴史と食品添加物
古代の人は、川や海で取った魚や山で採った木の実、野生動物などをそのまま食べていましたが、やがて、食べやすくするための調理法や食品を保存する方法などを考え出しました。これが食品の加工の始まりです。煙で肉をいぶして保存性を高めたり、塩の袋から滲みだした汁を使って大豆の煮汁を固めて豆腐をつくったりするようになりました。この汁が、豆腐をつくるときのにがりにあたります。にがりやいぶした煙の成分など食品を加工するのに役に立つ成分を使いやすいようにしたものが、食品添加物です。その多くは天然にあるものを利用したもの。食品添加物ということばが生まれたのは、1947年の食品衛生法の制定のときですが、それよりもずっと前から人類は食品添加物を利用してきました。
(2)食品の製造や加工に必要な食品添加物
ほとんどの加工食品には、食品添加物が使われています。中でも、特定の食品を製造したり、加工したりするのに必ず必要な食品添加物があります。代表的なものに豆乳を固めて豆腐をつくるために使う「にがり」、小麦粉からラーメンをつくるときの「かんすい」、クッキーをつくるための「ベーキングパウダー」などがあります。また、酵素や砂糖製造で用いるろ過助剤、油脂溶剤、消泡剤、酸やアルカリなど食品を製造する加工助剤も食品の製造や加工に必要な食品添加物です(表3-3)。
※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ」にある「食品添加物編」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。