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農薬に関するデマで打線組んでみた!〈パート3〉【落ちこぼれナス農家の、不器用な日常】

農家のホンネ

とうとうこのシリーズも、パート3まで来てしまいました。
この記事が書けてしまうのが嘆かわしく思うほど、次々と新しい農薬デマが日々生まれて消費者を混乱させています。
ということで今回も、
「農薬に関するデマで打線組んでみた!〈パート3〉」
ということで、農薬デマを農家の僕ナス男が紹介します!

1(中) イチゴは残留農薬が多いから危険!

アメリカの民間団体の報告で、イチゴが一番残留農薬が多いとされていることから、イチゴはデマ屋の標的になりやすいです。
中には、

「観光農園のイチゴなんか農薬まみれだから食べられたもんじゃない!」
「イチゴ農家は家庭用と出荷用のイチゴを分けている!」

などと、とんでもなく過激なデマを流して集客している人がいます。

そんな過激なイチゴのデマを流している人に言いたい。

そのデマをイチゴ農家に向かって言えますか?

どんな作物でも、キチンと農薬を使用すれば残留農薬は安全基準内に収まりますし、検知すらされないことも多いです。

そして家庭用と出荷用のイチゴを危険だからという理由で分けているイチゴ農家は少ないですし、自分の栽培したイチゴをその場で食べることもあります。

消費者の皆さん!

デマに流されてしまったら、日本のイチゴ農家が作ったおいしいイチゴを食べられなくなってしまいますよ! 気を付けてください!

2(遊) 昔の無農薬の野菜はうまかった!

「昔の無農薬の野菜はうまかった!」

と、まるで農薬の味が分かると謳っているSNSのアカウントはありますが……

実際に食べ比べで農薬が使用されているか分かるという人は見たことも聞いたこともありません。

基準に従って農薬を使用していれば、味や匂いは全くしません。

それに匂いや味が分かるくらいなら、それは闇のルートから流通しているヤバい野菜です!

おそらく品種改良された今の野菜の食味と、農薬の使用を混同しているのでしょう。

味は個人の嗜好の問題ですので、あたかも全体に当てはまるかのような言い方は慎むべきだと思います。

3(右) ○○パウダーで野菜に付着している農薬を落とせ!

「○○パウダーで野菜を洗うと、こんなに農薬が浮かぶ!」

と、パフォーマンスをしているサイトがたくさんあります。

確かにそのパウダーで野菜を洗うと、油分のようなものが水に浮かびますが……

その油分は主に野菜のブルームです。

ブルームとは、農薬の使用に関係なく野菜の表面に付着しているロウのようなものです。健康に問題はありません。

つまり無農薬の野菜であろうがなかろうが、○○パウダーを野菜に使えば油分は浮きます。

もし農薬が不安で農薬を落とすパウダーを持っているならば、無農薬の野菜でも使用してみてください。

油分がしっかり浮かぶはずです。

4(一) 子どもたちの健康のために、オーガニック給食を!

最近いくつかの自治体でオーガニック給食が推進されています。

それを頭ごなしに否定するつもりはありませんし、僕もオーガニック給食に関して議論してもいいと思っています。

ただし、その背後にある団体やその思想には注意が必要です。

子どもの健康不安を煽り子育て中のママにつけこんで、まるで農薬が発達障害の原因になるというような主張をしている団体が多くいます。

今一度はっきりさせておきたいことは、発達障害の要因は「まだ分からない」が公式見解だということです。

発達障害の診断が出やすくなったことも関係があると思いますし、化学物質や農薬が少ない昔にも、そういう子どもはいたはずです。

オーガニック給食を推進する団体は、何を根拠に発達障害の原因を農薬と断定しているのでしょうか?

団体の思想や利益に誘導するため、と勘ぐられても仕方がないと思います。

一般の消費者にも分かりやすいように、農薬の正しいリスクや給食費の値上がりなどを議題に挙げたうえで、正々堂々と主張なさればいいと思います。

5(三) ネオニコは危険! ミツバチが全滅する!

先日テレビでネオニコチノイド系農薬の危険性が報道されました。

「ミツバチが全滅する! 生態系を破壊する!」

という主張も、全国ネットのメディアが報道すれば一理あるようにも聞こえます。

確かに、ネオニコチノイドはミツバチに影響があります。

殺虫剤なので、虫に対して影響が出るのは否定できません。

しかし、ネオニコチノイドだけが叩かれている風潮はナシかなと思います。

ミツバチへの影響が危惧されていますが、何もネオニコだけが原因ではないはずです。

● 地球温暖化や気象変動
● ミツバチに寄生するダニ
● 環境破壊

など、考えられる要因はたくさんあるはずです。

切り取られたメディアの報道だけを真に受けず、ネオニコチノイドに関して広い視野で見ないと前進しないと思っています。

6(二) 有機栽培の野菜を食べることは医食同源だ!

「有機栽培の野菜は薬要らず!」
「医療費の方がかえって高くつく!」

と妄信しているアカウントが散見されますが、これは言いすぎです。

確かに有機栽培野菜をたくさん食べると体に良さそうなのは分かりますが……

農薬を使用している慣行栽培の野菜を食べたからといって、病気になるという根拠はありません。

むしろ、慣行栽培であれ有機栽培であれ、野菜を食べることは健康にいいのは誰でも知っています。

そもそも医食同源とは、バランスの取れた食生活の大事さを表す言葉のはずです。

不安商法でもよく使われる言葉ですが、本来の意味は違いますのでご注意を!

7(補) 農薬の危険性を示す論文もある!

「農薬の危険性を示す論文はこちら!」

こんな感じで、あたかも農薬が人体に影響が出ているかのような論文や研究だけをピックアップしている人もいます。

確かに農薬との相関があるという論文はありますが、農薬と健康被害の明確な因果関係を示す論文は現時点ではありません。

そして、無農薬野菜と慣行栽培の野菜の明確な優位性はないという論文は現時点であります。

農薬が増えているから病気が増えているという相関関係を主張する人がいますが、それならばオーガニックにも都合の悪い相関関係はたくさんあるでしょう。

相関と因果は全く別物です。

その辺をごっちゃにしているデマもありますので、注意してください。

8(左) 慣行栽培の野菜が安すぎて有機栽培の野菜が売れない!

「有機栽培で大変な作業をしているのに、慣行栽培野菜と比べられて売れない!」

という有機栽培農家の愚痴ツイートを見かけました。

野菜の価格が安くて苦労している有機栽培農家の愚痴、同じ農家として気持ちは良く分かります。

しかし農薬や慣行栽培のせいにして、有機栽培野菜が売れない原因を責任転嫁しているように聞こえます。

有機栽培農家でもちゃんと利益を出している農家はいます。

農薬以外に、他の野菜と差別化できる要素が有機栽培にはたくさんあるので、PRの仕方を改善するべきです。

無農薬だろうが作業が大変だろうが、他の農家や農薬のせいにしていてはこの先も売れません。

9(投) オーガニックをバカにする人がいるから、オーガニックが広まらない!

「オーガニックというだけで意識高い系というレッテルを貼られる!」
「オーガニックはバカにされている!」

と、某オーガニック系の人が主張していましたが、それは違うと思います。

● 農薬の科学的安全性や厳しい基準は隠して、
● 危険や不安を煽りまくって、
● オーガニックを変な風に持ち上げて、

商売している活動家がいるから、大勢の一般の消費者はドン引きしているんです。

オーガニックの良さはたくさんあるはずです。

なのに農薬叩きで慣行栽培野菜を下げ、自分の扱っているオーガニックの商品を上げるPRはいかがなものか!

本来慣行栽培と有機栽培は対立するものではありません。それぞれの足りない所を補って共存できる関係です。

他方の栽培を貶めるのではなく、真っ当に競争しましょう。

これが、現場の一農家の望みです。

まとめ

消費者の方が全ての農薬デマを見抜くのはとても難しいですが、まずはSNSの胡散臭いアカウントのいうことを鵜呑みにしないようにしてください!

もちろん、僕の言うことも全て鵜呑みにしてはいけません!

多角的に情報を集めて、安心の基準を自分で考えて持つようにしてほしいと思っています。

【落ちこぼれナス農家の、不器用な日常】記事一覧

筆者

ナス男

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