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10. 農薬は適正量が使われています【農薬をめぐる重要な10項目】
OECD(経済協力開発機構)の統計によると、1990年以降、日本の農薬使用量は減少しています。これは耕地面積の減少の他に、より少量で効果の高い農薬に切り替わってきたことが主と考えられます。とはいえ、OECD加盟国の2003年の単位面積あたりの農薬使用量は、米国を基準とすると日本が約8倍、韓国が約7倍、英国が約3倍、フランスが約2倍でした。これは日本の気候が高温多湿で病害虫が発生しやすいため、高品質の農産物を安定的に生産するには農薬が不可欠なこと、栽培される主な作物の種類が違うなど日本の農業の状況に関係しています。
農薬の使用量は作物の種類や国によって違いがあります。作物別に見ると、果樹は多く、ダイズやトウモロコシ、小麦は少なく、コメやバレイショはそれらの中間ぐらいに位置付けられます。全栽培面積で農薬の使用量の少ない作物の占める割合が大きい国ほど、単位面積当たりの農薬使用量は少なく算出されます。
日本は温暖で湿潤であるため、農薬なしには農作物の商業栽培が難しい国です。日本の単位面積当たりの農薬の使用量は、米国より多いのですが、作物ごとに比べると種類により異なり、日本での農薬使用が過剰と言う訳ではありません。
(1)日本の農薬使用量は多い?
OECD(経済協力開発機構)の統計によると、1990年以降、日本の農薬使用量は減少しています(図2-5)。これは耕地面積の減少の他に、より少量で効果の高い農薬に切り替わってきたことが主と考えられます。とはいえ、OECD加盟国のなかでは韓国についで1ヘクタールあたりの農薬使用量が多く、2008年の統計では世界2位でした。これは日本の気候が高温多湿で病害虫が発生しやすいため、高品質の農産物を安定的に生産するには農薬が不可欠なこと、作物の種類が違うなど日本の農業の状況に関係しています。
(2)単位面積当たりの使用量で比べると
OECD加盟国の2003年の単位面積あたりの農薬使用量は、米国を基準とすると日本が約8倍、韓国が約7倍、英国が約3倍、フランスが約2倍でした。日本は米国やヨーロッパ諸国に比べるとかなりたくさんの農薬を使っていることになります。
ただし単位面積当たりの農薬使用量だけで、環境負荷があるとは言えません。農産物の安定生産に必要な農薬の使用量は、病害虫の発生量、品種による病害虫に対する抵抗性、農耕・栽培形態の違い、農薬の性能で変わってきますし、気候や生物循環のスピードも環境負荷に大きな影響を与えるからです。消費者が虫食いを嫌うことも、基準の範囲内で徹底した害虫防除を行うことにつながるでしょう。
(3)作物別の農薬使用量
同じ作物で農薬使用量を比較すると、日本の農薬の使用量が特に多いわけではありません。たとえば、ブドウでは日本の農薬使用量は、米国の3分の2、フランスの2分の1、スペインの約2倍でした。また、ダイズでは米国の約2倍でした。農薬の使用量は作物の種類や国によって違いがあります。穀物の作付け比率の高い米国やドイツ、フランスなどでは農薬使用量はもともとそれほど多くありません。農薬の使用量を作物別に見ると、果樹は多く、ダイズやトウモロコシ、小麦は少なく、コメやバレイショはそれらの中間ぐらいに位置付けられます。米国のように全栽培面積で農薬の使用量の少ない作物の占める割合が大きい国ほど、単位面積当たりの農薬使用量は、少なく算出されます。
※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ 農薬編」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。