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「グリホサートを主成分とするラウンドアップは動物の腸内細菌に影響を及ぼすことが分かっています。これは人間でも起こることでしょう」、「腸内細菌の異常は、全身の免疫や代謝に異常を起こして免疫疾患を起こしたり、さらに脳にも影響して、一部の自閉症の一因となる可能性があります」の言説は、科学的に証明されている事実なのでしょうか。
これは科学的には証明されていない、単なる『仮説』です。まず実験室など限定された条件下において、特定の微生物を対象に実施した実験で、グリホサートが微生物に何らかの影響を及ぼしたことは事実だったとしても、「実際にヒトの腸内でも同じことが起こるだろう」というのは微生物実験の事実から類推される一つの可能性、つまり仮説に過ぎません。ではヒトの腸内で同様の結果が得られるのかといえば、それを証明する研究は存在しないので、仮説は実証されていない=事実ではないということになります。
詳細は、農薬工業会(週刊新潮 第6回2020年4月23日号に関する農薬工業会見解)
https://www.jcpa.or.jp/news/pdf/news_200430_01.pdf をご覧ください。
また腸内細菌の異常が、さまざまな疾患に繋がるという主張も間違いです。引用元はありませんが、おそらく米国のコンピュター研究者であるセネフ博士とサムセル博士の『腸管微生物によるシトクロームP450酵素とアミノ酸生合成のグリホサートによる抑制:現代病への経路』を参照していると考えられます。
彼らはグリホサートの摂取により、化学物質代謝酵素が抑制され、人の消化管内にある微生物叢(そう)によるアミノ酸の生合成が抑制され、その結果さまざまな健康被害が出ると主張していますが、環境に存在するレベルの低濃度のグリホサートが、哺乳動物の消化管内にある微生物に作用したことを証明した研究はありません。つまりは単なる仮説です。
さらに彼らが科学誌に掲載した論文は、英国メスネイジ博士とアントニオ博士により検証され、科学的に否定されています。
参考
※週刊新潮ファクトチェックより抜粋