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第3回 農家は種苗法改正で何が変わる?【種苗法改正で日本農業はよくなる】
種苗法は、新品種の保護のための「品種登録制度」と種苗の適正な流通を確保するための「指定種苗制度」について定めた。品種育成の振興と種苗流通の適正化を図ることで、農林水産業の発展に寄与することを目的としている。農家にとって種苗法改正で何が変わるかをQ&A方式で解説する。
Q 種苗法の改正事項で、農家が影響を受ける点や気をつける点はありますか?
A 種苗法の改正で、農家が留意する事項は主に以下の2点です。
登録品種に限り農業者による自家増殖は育成者権者の許諾が必要になる。
まず、自家増殖は一律禁止にはなりません。一般品種を自家増殖されている方は、何も変わりません。また、毎年種子を更新(購入)している方(実際はかなり多い)にも関係ありません。ただし、登録品種を自家増殖されている方は、改正後は育成者権者への許諾が必要になります。その際、農家と育成者の間に位置する団体などがまとめて許諾契約を締結することも可能です。また、許諾料が生じる場合でも、農水省が提示している例では、10アール(10a=100㎡)当たりの稲の種苗代1,600円のうち、許諾料は自県農業者で2.56円、他県で8円です。
品種登録時に、育成者権者が輸出先国や栽培地域など利用条件を付することができるようになる。
登録品種の利用条件に反する行為に対して、育成者権者は制限ができるようになります。海外への持ち出しや、国内指定地域外での栽培は育成者権侵害となります。そうならないように、正規のルートで種苗を購入しましょう。
育成者権:品種登録すると、育成者に権利(育成者権)が発生する。
登録品種:育成者権者により業として登録された品種(登録品種)。育成者権の存続期間は、登録日から25年、または30年。ただし、登録維持の手続きをしない、また要件を満たしておらず取り消されることもある。
Q 在来種や一般品種が知らないうちに品種登録されてしまうことはないのでしょうか?
A 在来種も一般品種も品種登録はできません。また、在来種などを育種材料に用いて交配などを行なった場合であっても、「在来種や一般品種と明確に区別できる特性を持つ品種(つまり、それらとは別物)」を育成しなければ品種登録はできません。その新しい登録品種は別物なので、当然、在来種や一般品種の自家増殖にも許諾は不要です。
*この記事は、『農業経営者』(2020年8月号)の【特集】種苗法改正で日本農業はよくなる! 前編【種苗法改正】徹底取材 育種家と農家のリアルな声一挙掲載を、AGRI FACT編集部が再編集した。