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農家の私が農薬について情報を発信する理由【落ちこぼれナス農家の、不器用な日常】

農家の声

アグリファクトの連載が始まってから、2年が経ちました。
私の書く記事、特に「農薬に関するデマで打線組んでみた」シリーズに対して、
「分かりやすい! 農薬について消費者にももっと知ってほしい!」
という賛成の意見もあれば、
「どこかの工作員がなんか言ってる!」
「モンサントの手先ですか?」
と、私を拒絶するような厳しい意見もいただくことがあります。

そんな意見をいただきながらも農薬についての情報発信を続ける理由を、今までちゃんと説明できてなかったかなと思います。
ということで今回は、
「農家の私が農薬についての情報発信をする理由」
をテーマに、私ナス男が、農薬についての情報を発信する理由を4つ改めて説明します!

① 農薬のデマ屋が少なくなってほしいから

まずは、農薬のデマを流す人たちが少なくなってほしいからです。
動画サイトでは、農薬について過激な表現で不安を煽るほど、再生回数やいいねが多い傾向があります。

農薬についての動画をアップするのであれば、不安を煽るだけでなく反対の意見まで含めてきちんと説明する責任があると私は考えています。
農薬について一方的な視点からの説明は、ショッキングで消費者の注目を集めやすいですが……
公平性に欠ける印象が強いです。
そんな記事や動画をアップする人が少なくなって欲しいなと思って、アグリファクトの記事を書いています。

② 慣行栽培や農薬についての誤解を減らしたいから

2つ目は、慣行栽培や農薬について消費者が抱いている誤解を少しでも減らしたいからです。

● スーパーのきれいな野菜は農薬まみれだ!
● 日本は農薬基準が緩いから、世界の農薬の最終処分場になっている!
● 農家は自分で食べる用の野菜には農薬を使ってない!

などなど、挙げだしたらキリがないほどの農薬のデマがSNSでは溢れています。
そういったデマに対して、アグリファクトには事実や科学を基にした記事が多いのですが、
「もっと消費者に分かりやすくて読みやすいコラムにも需要はあるのでは?」
と考えた結果、農薬に興味を持ってもらう導入の記事として、「農薬に関するデマで打線組んでみた」シリーズが生まれました。
現役の農家が農薬についてのコラムを書く、ということにも一定の意味があると思っているので、これからも継続して発信していきたいです。

③農薬論争に区切りをつけたいから

3つ目は、何十年と続く農薬論争に区切りをつけたいからです。
有機栽培の野菜を買う人と、慣行栽培の野菜を買う人。
それぞれの選択は対立するものでは決してなく、お互いを尊重し合えば十分に共生が可能なのに、何十年も論争になって終わっていません。

ぶっちゃけ農家としては、農薬の安全性の論争はただただ面倒で巻きこまれたくないのです。
例えばグリホサートのように、
「もうこの議論何周目?」
というネタにかまっている暇なんてないのです。

● 肥料や飼料の価格高騰
● 野菜の価格低迷
● 災害の甚大化

など、農業全体で見たら、農薬の問題なんてほんの一部分にしかすぎません。
喫緊で議論すべき課題が山ほどあるのですから、優先順位をつけて時間や思考を使えるようになってほしいと願っています。
私の記事だけで、農薬の不安や有機栽培と慣行栽培の分断など、全てを解決できるなんてこれっぽっちも考えていません。
しかし農薬に関する意見を記事として残すことで、消費者同士のムダな小競り合いを避けられるのでは? とは考えています。

④オーガニックが正しく広がってほしいから

そして最後は、オーガニックが正しく広がってほしいからです。

「嘘つけ! 散々農薬は安全だと言ってるじゃないか!」
「お前は農薬肯定派の闇の農家だろ!」

との意見をいただきそうですが……
私を含め多くの農家が、現場ではなるべく農薬を減らす努力をしていますし、
「オーガニックを広めたい!」という目的は私も一緒ではあります。

ただし活動家と私の違うところは、農薬について正しい知識を消費者が持った上で、という前提条件があることです。
農薬の不安だけを煽って視聴者の食の不安を煽るような人がいるから、それが安全不信につながり、逆にオーガニックが広がるのを邪魔しているのではないか、と私は考えています。
記事を書いてWEBにアップする以上、私もより一層内容には気をつけて発信していきます。

まとめ

改めて私のスタンスを説明させていただきますが、私はオーガニック自体を否定していません。
有機栽培で生計を立てている方を尊敬していますし、オーガニックの農産物を買う消費者を批判するつもりは毛頭ありません。
ただし、不安だけを煽って再生数を稼ぐ方には消えてほしいと強く思っています。
工作員と呼ばれながらも、これからも文字違いの耕作を続けながら、ナスの耕作員として農薬に関する情報発信もしていく所存です!

【落ちこぼれナス農家の、不器用な日常】記事一覧

筆者

ナス男(ハイパーナスクリエイター「いわゆるナス農家」)

 

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