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ラウンドアップ裁判で巨額の懲罰的賠償金支払いを命じる判決が出ているのはなぜですか?
A アメリカのカリフォルニア州でがん患者がモンサントを相手取って、巨額の賠償金を求める裁判が続くなか、これまでに民事裁判で3件の評決が出ています。いずれも原告が勝訴し、陪審団がモンサントに支払いを命じた損害賠償額は総額2500億円を超えます。その後、裁判官がその額を不当と見なして3件とも減額され、総額約210億円。被告のモンサントがすべて上告しているため、実際に支払われてはいません。
日本の報道では全く触れられていないこと
なぜ賠償額がこれほど巨額になるのかというと、大きく2つの理由があります。まず弁護士の専門サイトを見ると、彼らはこぞって発がん性商品らしきものを販売している企業の毎年の営業利益を調べていて、この営業利益が賠償金請求額の元金になります。モンサントは独バイエルに買収されたことで営業利益が増大し、賠償金の元金も跳ね上がった。この点も日本の報道では全く触れられていません。
ラウンドアップが原因でがんを発症したとしてカリフォルニア州の夫婦が賠償を求めた訴訟の判決が2019年5月にあり、陪審員はモンサントに約20億ドル(約2200億円)の賠償金支払いを命じる評決を下しました。20億ドルの根拠は何かというと、原告ががんを発症した年のモンサントの営業利益が約9億ドルだったことです。請求相手として申し分ありません。収益性の高い農薬・GM種子大手であるばかりか、親会社にはさらに巨大な化学企業のバイエルも控えていて、訴訟コストに対し、勝訴したときに大きなリターンが期待できます。
巨額賠償を勝ち取ったカラクリ
ターゲットの支払い能力を見極めたうえで、10億ドルを陪審員から引き出した弁護士ブレント・ウィズナー氏はインタビュー記事で巨額賠償を勝ち取ったカラクリを明かしました。
「私は実際に10億ドルを要求したわけではありません。原告がラウンドアップを使用した最後の年、モンサントの利益が8億9200万ドルであることを陪審団に示し、こう申し上げました。『あなた方は原告にがんを引き起こしたモンサントに対し、いくらの懲罰を下すべきか。彼らの利益額以上であるべきです」
実際の損害とはなんの関係もない。完全な誘導尋問ですが、陪審員の感情を揺さぶり、ある種の良心に訴えるには十分でした。人として営業利益額以下は書きにくい。そして、弁護士が誘導した額を判決文に書かせることに成功したのです。この勝訴で、ウィズナー氏は一躍「全米トップ弁護士100人」に選出されました。彼もまた訴訟ビジネスの成功者の一人です。
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