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ラウンドアップ裁判では本当に“発がん性のある・なし”が争われているのですか?

食の疑問に答えます

A ラウンドアップの発がん性は裁判の重要な参考事項ですが、争点ではありません。裁判はそもそも、発がん性の有無といった科学的な評価をすることはできないし、科学的な評価を行う場ではないからです。ラウンドアップ裁判とは、被告の「不法行為」に基づく原告の「人身被害」の有無を争う損害賠償請求訴訟です。

ラウンドアップ裁判は、発がん性のある・なしを決めるものではない

つまりラウンドアップ裁判は、「原告(人)が病気になった人身被害」について、「その責任が被告モンサントの故意や過失(不法行為)にあるかどうか」を争うもので、被告が敗訴した場合、民事訴訟では「損害賠償金」を支払うことになります。この場合の原告が立証すべき過失とは、ラウンドアップの発がん性のある・なしではなく、ラウンドアップの製造責任者モンサントの過失によって不法行為が成立しているどうか、に限られます。

アメリカの裁判の特殊性

アメリカの裁判で過失はどうすれば立証されるのかというと、「注意(警告)義務の違反/怠慢」があったかどうか、です。その判定基準は、(1)被告の商品によって人身被害を被ったこと、(2)被告は商品がユーザーに危害を与える可能性をあらかじめ知っていた、(3)その注意を発する義務(商品ラベルに記載するなど)を怠ったことの3点において陪審員を民事訴訟の場合51%の心証割合で説得できれば、被告の過失による不法行為が証明され、賠償金を支払うことになるのです。

陪審員は科学者ではない

もちろん、裁判でラウンドアップの発がん性が議論されなかったわけではありません。原告側と被告側が複数の専門家を証人として呼び、証人は陪審員の前で発がん性についてまったく違う意見を述べました。陪審員は科学者ではないので、どちらの主張が科学的あるいは医学的に正しいかを判断することはできません。しかしながら、評決を出さないわけにはいかないので、「発がん性がある」という意見の方が信頼できると判断し、これに基づいて原告側の責任を認めました。

原告が勝訴したのは、ラウンドアップの発がん性を証言した証人の方を陪審員が信じたからです。だからといって、ラウンドアップの発がん性が科学的あるいは医学的に「ある」ことをアメリカの裁判所が認めたことにはならないのです。

回答者

唐木英明(公益財団法人食の安全・安心財団理事長、東京大学名誉教授)
浅川芳裕(農業ジャーナリスト、農業技術通信社顧問)

編集担当

清水泰(有限会社ハッピー・ビジネス代表取締役 ライター)

回答日

2020年1月15日

 

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