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6. 食文化の豊かさを支える【食品添加物をめぐる重要な10項目】

食の疑問答えます

食品添加物には味や香りをよくするもの、食感に関わるもの、色をよくするものがあり、食卓に彩りと豊かさを与えている。色や味、香りなどはおいしさの重要な要素であり、着色料や調味料などの食品添加物が私たちの豊かな食生活を支えている。


生鮮食品から加工食品まで、スーパーに並ぶ色とりどりの食品。それらは、日本各地や世界の国々から集まっています。また、私たちの生活を便利にしてくれるインスタント食品や手軽な惣菜などのおかげで、私たちの食生活は大変豊かになっています。食品添加物は食文化の豊かさを支えています。

(1)私たちの豊かな食生活を支える食品添加物

私たちが、いろいろな種類の食品が食べることができるのは、食品の保存や加工技術の進歩によります。加工技術が進歩すると、食品の色や味などの風味を楽しむような食文化も発達しました。食文化の歴史を振り返れば、紀元前3000年頃には、発酵を利用した酒、酢などの調味料やチーズ、ヨーグルト、パンなどの発酵食品も生まれ、保存や風味づけのためにコショウやニクズクなどのスパイスを使うようになりました。日本人の食生活でも、奈良から平安時代には、薬味として山椒や生姜を使ったり、干し柿で甘みをつけたりすることを行っていました。鎌倉から江戸時代には、中国文化や南蛮文化などが伝わるとともに、食文化がどんどん発達し、保存料や調味料の利用も広まりました。こうして、現代の豊かな食文化へとつながります。前述した食品の製造や保存に必要な食品添加物に加え、食品の味や見た目を良くし、魅力的で品質の良い食品を作るために加える食品添加物も大きな役割を果たしています。

(2)魅力的なおいしい食品をつくるための食品添加物

食品を加工すると色合いが悪くなることがあるので、見かけをよくし、食欲をそそるために食品を着色する場合があります。人々は、クチナシの実できんとんを黄色くしたり、シソで梅干しを赤くしたりと、食品をおいしく食べられるよう工夫してきました。現在は、食品の色合いをよくするために着色料や発色剤、漂白剤などを使います。着色料は、粗悪な食品の外観をごまかすためではなく、食品をおいしく楽しく食べるためのものなのです。

食品の色ばかりでなく、味や香り、食感も、食欲やおいしさの重要な要素です。これらの要素を改善し、食品の価値を高めるために食品添加物が使われます(表3-4)。香りを付ける香料、味を良くする甘味料や調味料など、食感を良くする乳化剤や増粘安定剤などが該当します。

表3-4 食品の嗜好性の向上に関わる食品添加物 (出典:(一社)日本食品添加物協会「もっと知ろう!食品添加物」)

(3)発色剤

発色剤とは、それ自身は色をもっていないが、食品中の成分と反応して安定した色素をつくるものをいいます。よく知られているのはハムやベーコンなどに使われる硝酸塩や亜硝酸塩です。新鮮な肉は赤いのですが、酸素にふれたり加熱したりすると褐色に変化し、肉の色が悪くなります。硝酸塩や亜硝酸塩を添加すると、赤い色を保つことができます。

この発色剤のルーツはなんと紀元前のローマ帝国時代。その頃、不純物の多い岩塩で肉を漬けると、保存中の肉の色が安定することが知られていました。これは岩塩中の硝酸塩による作用だったのです。身近な例では、ロールキャベツがあります。ロールキャベツの豚肉がピンク色なのは、キャベツに含まれる硝酸塩と豚肉の色素の反応によるものです。

科学の進歩につれて有効成分がわかり、発色剤として食品加工に利用するようになりました。亜硝酸塩には、食中毒をひきおこすボツリヌス菌の繁殖を抑える作用もあります。

※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ」にある「食品添加物編」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。

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