TwitteアイコンFacebookアイコンユーザーボイス 取材リクエスト 寄付のお願い メルマガ AGRI FACTとは

農薬に関するデマで打線組んでみた!【落ちこぼれナス農家の、不器用な日常】

農家のホンネ

農薬に関するデマはSNSで毎日のように飛び交っていて、根拠のないとんでもない農薬のデマに、僕たち農家はウンザリしています……。
ということで今回は、
「農薬に関するデマで打線組んでみた!」
というテーマで、典型的な農薬のデマを野球の打線に例えて解説します。
消費者の方にこそ、ぜひ知ってほしい内容です! 

1.(二)オーガニック、有機栽培は無農薬!

よくオーガニックや有機栽培と無農薬をごっちゃにして勘違いしている方がいますが、根本的に間違っています。有機栽培=無農薬ではありません。
有機栽培は、使用が認められている農薬は使っていいことになっています。
もちろん有機栽培かつ無農薬で栽培している農家もいますが、有機JAS表示があっても農薬は使っている野菜もあるということはまず覚えておいてほしいところです。

2.(中)農家はJAの言われるがままに農薬を使いまくっている!

「農家はJAの言われるがままに農薬を使いまくってる!」
SNSでは、こういう過激な趣旨の投稿も目にしますが……
農家もバカではないので、JAの言いなりにはなっていません。
JAの防除暦通りの散布回数で農薬を散布する農家は少ないです。

• 手間だし、
• お金かかるし、
• 消費者にも嫌がられるので、

農家だってなるべく農薬を減らすべく、作物の日々の観察や栽培に力を入れています。
JAに出荷する以上は農薬法のルールやJAの出荷規格は当然守りながらも、その中で農薬を減らす試行錯誤を常にしています。

3.(一)農薬を使っている野菜は虫食いがない!

「虫も食わない野菜は食べちゃダメ!」
このフレーズも農薬批判によく使われますが、現場を知らない人のミスリードです。
農薬を使っている野菜でも虫食いはあります!
バンバン虫に食われます!
スーパーなどに流通している野菜に虫食いがないのは、農薬を使っているからではありません。
出荷時に時間と労力をかけて虫食いや病気の野菜を選別して取り除いているから、虫食いがないんです!
虫食いだらけ病気だらけの野菜を流通させてしまったら、安心安全は守られませんからね。

4.(三)農薬を使っている野菜を食べ続けたら、将来病気になりやすい!

「オーガニックの野菜を食べていないと、通院代が高くつくと聞く! 発がん性が懸念される!  不妊の原因にもなり得る!」
など、聞くに堪えない悪質なデマを流している人もいます……。
ご存じの通り、病気には生活習慣やストレスなど様々な要因があるので、農薬のせいだと断定することはできません。これらの残留農薬に関するデマには、何の根拠も論文もありません。

5.(左)農薬が安全? なら農薬飲んでみろ!

「農薬は本当は危険だから口にできないんだろ!?」
これもよく言われることです。
農薬は飲料として造られてはいませんので、そのまま飲んだら危険に決まってます!
用法や量の概念を無視しています。
水や醤油でも許容量を超えて飲むと致死量になり得るくらい危険ですよね?
どんなものでも正しく使用してこそ安全が担保されるんです。
慣行栽培で使っているモノが危険で、有機栽培で使っているモノが全て安全という論理を展開していますが、
その論理をそのままお返しするならば、
「堆肥や木酢液を飲んでみろ!」
となってしまいます。(危険ですので絶対にやめてください!)

6.(遊)農薬大国ニッポン!

「外国に比べて、耕地面積当たりの農薬の使用量が多い!」
という記事も目にします。
確かに耕地面積で比べると、世界では16位、OECDの中では3位となります。

• 日本は諸外国に比べて高温多湿で、病害虫が発生しやすい環境のため
• 農薬の散布回数が多くなる果樹の栽培が多いため

が主な要因です。
しかし、環境や経済状況がまるで違う日本と諸外国とを比べる必要があるのか疑問です。
そして比べるのであれば、耕地面積当たりではなく作物当たりで比べるべきです。
作物当たりの農薬使用量では、日本は外国に比べても多くはなく、少ない作物もあります。

7.(捕)農家は自分たちで食べる野菜は無農薬で分けて作っている!

「自分たちは無農薬の野菜を育てて食べているんだろ!?」
と言われることもあります。
確かに無農薬で家庭菜園をしている農家もいるかもしれませんが、それは「自分の家の分だけは無農薬で作りたい!」と考えているわけではなくて、

ただ単に面倒だから!

本業の農業で忙しくて、頻繁に農薬を散布する時間もない農家がほとんどです。
家庭菜園は趣味程度で、虫食いでダメになってもいいやくらいに思っているので、農薬もあまり使いません。
ちなみに僕は、面倒なので自家消費用と出荷用のナスを分けて作っていません。

8.(右)有機栽培農家は農薬の危険性に気づいている!

農薬が大嫌いだから有機栽培をしているという農家はいますが、有機栽培農家の全てが農薬を全面否定しているわけではありません。
農薬の安全性を理解した上で需要があるから有機栽培をしているという、「戦略的な有機栽培農家」の方も多いです。
最近はSNSやブログなどで、
「慣行栽培でも有機栽培でも安心安全は変わらない!」
と発信する有機栽培農家さんが確実に増えています。

9.(投)スーパーの野菜は農薬まみれ!

「スーパーの農薬まみれで薬漬けの野菜なんて食えるか!」
という人がいますが……
農薬を適切に使うことが義務付けられていて、ラベルに書いてある通りの希釈と散布前日数でしか使えません。
適切に農薬を使えば紫外線や雨、時間の経過などで分解されて、出荷される作物に残るものはかなり少ないです。
そして残留する農薬も基準値以内で収まるはずですし、基準値を超える残留農薬が抜き打ち検査で出てしまえば出荷停止になります。
農家に農薬まみれと面と向かって言ったら……皆キレますよ!

まとめ

最後に伝えておきたいことは、僕は有機栽培を否定しているわけではありませんし、消費者が有機JASの商品を買うことを否定しているわけではないということです。
しかし農薬の存在を全面否定して、消費者を煽って分断しようとしている人は許すことができません!
農薬に関する過激なデマを鵜呑みにせず、正しくリスクを把握して正しく恐れてほしいと思っています。

もっと知りたい方はこちら

筆者

ナス男

関連記事

Facebook

ランキング(月間)

  1. 1

    ラウンドアップの安全性について:よくあるご質問(FAQ)

  2. 2

    「グリホサートは多くの病気の原因」というセネフ博士の主張は科学的に正しいのか?(1/4)

  3. 3

    ラウンドアップはなぜ風評被害に遭っているのか?【解説】

  4. 4

    どんと来い、トンデモ村人(後編):9杯目【渕上桂樹の“農家BAR NaYa”カウンタートーク】

  5. 5

    「グリホサートは多くの病気の原因」というセネフ博士の主張は科学的に正しいのか?(2/4)

最近の記事 おすすめ記事
  1. コラム1 急性参照用量の設定【農薬をめぐる重要な10項目】

  2. 第3回「『自然派被害』は自己責任なのか」(前編)【分断をこえてゆけ 有機と慣行の向こう側】

  3. Yahoo!ニュースにて、「緊急セミナー『ラウンドアップ問題を考える』」に関する記事が掲載されました。

  4. ラウンドアップ裁判の被告“モンサントが孤立無援”というのは事実ですか?

  5. EPAがグリホサートに関する登録審査の中間結果を公表

  1. 農薬に関するデマで打線組んでみた!【落ちこぼれナス農家の、不器用な日常】

  2. トンデモ講演会潜入記:4杯目【渕上桂樹の“農家BAR NaYa”カウンタートーク】

  3. 食と農 安全・安心を考える 有機農業が唯一の解決策ではない みんなが食べ続けていくために選択の自由を守る

  4. 世界のグリホサート安全性評価

  5. 日本の農薬使用に関して言われていることの嘘 – 本当に日本の農産物が農薬まみれか徹底検証する

提携サイト

食の安全・安心財団

 

 

食品安全情報ネットワーク
食の安全と安心を科学する会
TOP