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主催者あいさつ―緊急セミナー「ラウンドアップ問題を考える」より【講演録】
株式会社農業技術通信社代表取締役兼『農業経営者』編集長
昆吉則
今、ネットを拝見しておりますと、ラウンドアップに関して、リスクを語る情報がたくさん流れています。
このランドアップは商品名で、成分名はグリホサートです。今日は、アメリカの裁判でも、グリホサートよりもラウンドアップとして表現されているので、ラウンドアップとして取り上げますが、我々農業メディアも含めて、ラウンドアップあるいはその成分名グリホサートに関する風評を正す、検証するという記事は全く出ていません。
このラウンドアップに関して、農業のことをご存じない多くの方にとっては、遺伝子組換え作物にかける除草剤と誤解されている方も多いと思います。現実には、遺伝子組換え作物が出てくる前から、ラウンドアップはあった除草剤であり、現在に至るまで日本だけではなく、世界で一番たくさん使われている除草剤です。
日本でも、例えば畑作物で直播にする作物、小麦や大豆、トウモロコシ、蕎麦などありとあらゆる作物に使います。あるいは水稲でも、乾田直播をするような場合には、ラウンドアップを使う場合が多いです。
通常、種を蒔いたあと、作物よりも先に雑草が出てまいりますが、ラウンドアップはそれを枯らし、そして、次の作物が出てくるときには、土に落ちたラウンドアップは分解されて、他の作物には影響を与えません。それゆえに、非常に使われているものなのであり、日本の農業にとってはすごく大事な除草剤です。なおかつ、あらゆる除草剤の中でも、最もこれが安全性が高いと世界的な機関が認めているものです。
これがなくなるということは、これからの農業にとって非常に大きな問題です。しかし、最近のネットメディアの中には、国会議員の髪の毛からラウンドアップの成分が出てきたとか、輸入小麦、あるいはパンの中から成分が出てきたなどと、不安を煽るものがたくさん出ています。
この場合も、どれだけの分量が出てきたのかを問われないといけないのですが、そこには全く触れていません。そのことに対して、我が読者たちは非常に困惑しています。
例えば、有機農業をやっていらっしゃる方で、ラウンドアップについて肯定的な評価を持っていらっしゃるある方は、ラウンドアップを使用することについてSNS上で語れないと嘆いてらっしゃいます。自分が袋叩きにあうだけではなくて、取引先のレストランにも迷惑がかかるかもしれないとおっしゃられるわけです。このようなことが、今の状況下ではかなりあります。
私どもは『農業経営者』という雑誌を発行しています。農家の方々を読者層に持つ雑誌ですが、もっと広い層の方々に知ってもらうために、ネットでも記事を公開しました。そして今回、ご専門の方及び農家の方と一緒に発言していただき、さらに多くの方々に本当のことをご理解頂くために、今回のセミナーを開催させていただきました。
食品安全ネットワーク代表、食生活ジャーナリストの会代表、元毎日新聞社編集員
小島正美
食品安全情報ネットワークは、新聞、テレビ、雑誌などを含めたメディアの中に非科学的な記事があった場合、訂正を求めたり、直接お会いし説明をさせていただくような活動を行なっている団体です。全くのボランティアでやっている団体で、ちょうど創立10年になりました。
ラウンドアップに関しても、ネットや新聞などにあまりにもバイアスがかかっている記事がたくさん出ています。そこで今回、科学を踏まえた事実をきちんとメディアに伝えて欲しいという想いを込め、ラウンドアップを考えるための緊急セミナーの実現に至ったわけです。
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