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世界中の規制機関から批判されるIARC – グリホサートの真実とは2【完全版】(vol.4)

食と農のウワサ

生産現場のリアルな声を発信する日本有数の農業チャンネル「トゥリーアンドノーフ」を運営する徳本修一氏が、グリホサート問題の歴史的経緯から背後で蠢くビジネス人脈、科学的評価や対立の解決法まで、食の安全安心の権威・唐木英明氏に聞きまくった1時間。グリホサートの真実とは2【完全版】をAGRI FACT用に再構成してここにお届けする!(vol.4)

世界中の規制機関から批判されるIARC

徳本 これは衝撃の事実というか、おそらく日本では今までシェアされてこなかった事実ですね。そもそもラウンドアップの発がん性疑惑の発端となったIARC評価の信憑性はどうなのですか。

唐木 それについてはAGRI FACTのインフォグラフィックがわかりやすいと思います。IARCは科学物質だけでなく、がんになりそうな要素(ハザード)に関するいろんな論文を調べて、その論文の数と内容からどのくらいがんになる確実性があるのかをハザード評価して発表している機関です。

論文をもとにグループ1からグループ3まで分類しているのですが、グループ1は明らかに発がん性があるという証拠がたくさんあります。実際に起こすかどうかは別ですけども、論文上証拠があります。そしてグリホサートはグループ2Aでおそらく発がん性があるというところですけども、同じ分類のグループ2Aにはグリホサートのほかに赤身肉、これは豚肉や牛肉を指し、それからコーヒーや紅茶、日本茶といった熱い飲み物、それから美容院とか床屋も同じ分類に入っています。

ですからこの分類は美容院で働いている人が全員がんになるというわけではなく、美容院で使ったり床屋さんで使っている化学物質に被爆すると、がんになる可能性が高いという論文がありますよと言っているにすぎない。グリホサートはがんになる可能性があるという論文がこれだけありますよということを言っているにすぎないわけです。それでも国際機関が発がん性分類という形で公表すると、被爆した全員ががんになるというふうに思ってしまうわけです。ところがよく見てみると、発がん性のハザードとしての評価は赤身肉や床屋と同じ程度のレベルなんだということで、問題にするものではないのです。国際がん研究機関(IARC)への批判

資料 国際がん研究機関(IARC)への批判

そもそもグリホサートは1974年の発売から40年以上にわたって800以上の試験機関で緻密なリスク評価を経て安全性が証明され、150カ国以上で使用されてきたがまったく問題は起きていない。そうした事実を無視してるという批判があり、各国の食品安全規制機関(日本は食品安全委員会)、国連機関も異を唱えています。ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、ドイツ、米国、各国の機関がグリホサートに発がん性はないと改めて評価・判定しています。ですから、このIARCの評価・分類は科学的に見てもおかしいし、グループ2Aに入った経緯から見てもおかしい。間違いであると食品安全分野の専門家は思っているということです。

さらに理解を深めたい場合は

グリホサートの真実とは<2> -「食の安全」の世界的権威に聞いてみた!〜完全版

 

【グリホサートの真実とは2】記事一覧

プロフィール

唐木英明(公益財団法人食の安全・安心財団理事長 東京大学名誉教授)
徳本修一(トゥリーアンドノーフ株式会社代表取締役)

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