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コラム読者さんとの懇親会を開いてみた:46杯目【渕上桂樹の“農家BAR Naya”カウンタートーク】
私がこのコラムを書き始めてもうすぐ4年になりますが、今までは読者さんと直接お会いする機会はあまりありませんでした。でも、できれば皆さんにお会いしてみたい! というわけで、懇親会を開いてみました。学ぶことの多い機会になったので、今回はその時に感じたことを述べたいと思います。
0次会から熱気むんむん
会場は東京、新橋駅近くの居酒屋。
私は仕事を終わらせて会場に向かいましたが、各地から集まってきた参加者の皆さんはそれぞれ早めに集まって(0次会)、話したり情報交換をしたりしていました。
もうこの時点で皆さんの熱意や思いを感じます。
会場に着くとSNSやコラムでお馴染みの方々が続々登場され、私は興奮を抑えきれずにいました。
参加者同士でも「やっと会えた~」「本物だ~」と盛り上がっていましたし、私も同じことを言われたのできっと皆さんが同じ気持ちだったと思います。
懇親会では初対面同士にもかかわらず活発に情報交換、意見交換がされていました。
私も、思いがけずお会いできた著名なジャーナリストや科学者の方とすんなり意見交換ができて不思議な感覚でした。
たとえ初対面でも、同じ課題・同じ理想を共有する者同士だとすぐに話が進むのでしょうね。
多種多様な参加者 子育て中の母親の姿も
印象的だったのは、参加者皆さんの地域や年齢や職業が多種多様だったことです。
私は農と食の不安を煽るトンデモを追っていますが、これは農業・食品関係者だけの問題ではないと考えています。
農業トンデモを発信する者たちは、広く一般の人たちの不安を煽るので、農家だけが正しい情報を知っていてもあまり意味がないのです。
今回集まってくれたのは、農家、食品関係者、エンジニア、ジャーナリスト、科学者、そして子育て中の母親など様々でした。
それぞれ立場は違うけど、みんな思いは同じです。
「農と食の変なトンデモで不安を煽ってほしくない」「正確な情報を発信したい」「正確な情報を知りたい」という思いです。
農家は基準を守っているならば(農薬使用の有無にかかわらず)誇りを持って堂々と働きたい、子育て中の母親・父親たちは本来必要ない不安情報に惑わされたくない、農薬メーカーで働く人もウソの情報で悪者扱いしてほしくない、食品業界で働く人も正しい情報を伝えたい。
皆さん同じ思いなんです。
今回はたくさんの人たちが業界の垣根を越えて集まった、たぶん初めての会だったと思います。
そういう意味では、私には歴史的な夜に思えました。
今後このようなイベントを企画するなら、様々な職業や立場の人たちが参加しやすくなるよう心掛ける必要があると感じました。
行き過ぎたオーガニック思想などを前に地域で孤立する主婦
今回話を聞かせてくれた方の中で一番切実だったのが一般の主婦の方でした。
彼女は、地域の中で行き過ぎたオーガニック思想が反医療思想と組み合わさり、学校教育や行政に浸透していく状況を詳細に語ってくれました。
資料を見せながら話してくれる様子からは、地域の教育と行政が侵食されていくことへの不安な気持ちが伝わってきました。
彼女の「不安」は、「食べ物が不安です! 予防接種が不安です! 給食をオーガニックにしよう! みんなで声を上げよう!」と活動するグループが発する無邪気な「不安の声」とは全く違う種類のものでした。
誰に相談したらいいのかわからず、新幹線に乗って、宿を取って話をしに来てくれたことを、今後コラムを書く上でしっかり覚えておきたいと思いました。
今回はたくさんの仲間が集結し、お互いに励まし合い、情報や意見を交換し、そして切実な思いを知ることができた貴重な機会でした。
集まってくれた皆さん、話を聞かせてくれた皆さん、ありがとうございました。
そして、今回は来られなかったけどメッセージを寄せてくれた皆さんもありがとうございます。
【渕上桂樹の“農家BAR Naya”カウンタートーク】記事一覧
筆者渕上桂樹(ふちかみけいじゅ)(農家BAR NaYa/ナヤラジオ) |