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グリホサートは脱炭素に貢献! 学術研究により判明

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「グリホサート系除草剤(ラウンドアップ製品群)や、遺伝子組み換え作物は環境に悪い」という言説をよく目にするが、必ずしも正しい言説ではない。たとえば、耕起によって農地から大気中へ炭素が排出されるが、グリホサートや除草剤耐性の遺伝子組み換え作物を使用することで不耕起や最小限の耕起も選択できるようになった。その結果、炭素貯留量が増加し、環境負荷の低減を可能にしている。

耕起から不耕起や最小限の耕起へ

グリホサート系除草剤と遺伝子組み換え作物の栽培が普及する以前の1990年代初頭、雑草対策は基本的に耕起(註:耕うん機などを用いて作土を掘り起こし、土壌を反転、かく乱すること)によって行われ、不耕起栽培や最小限の耕起にとどめる栽培・管理方法は長期的に継続することができなかった。しかし、現在は耕起による雑草防除から、不耕起や耕起を最小限に抑えた方法に大きく移行している。

グリホサートなどによって炭素排出量が減少

なぜこのような農地管理が可能になったのか。その変遷を調査するための研究(Chelsea Sutherlandら、Correlating Genetically Modified Crops, Glyphosate Use and Increased Carbon Sequestration)が行われた。カナダのサスカチュワン州における炭素貯留量(註:農地の土壌は炭素の排出源になっているが、土壌炭素の貯留により炭素の大気中への純排出量を減らすことが可能とされている)を推定するため、CENTURYモデル(註:米国コロラド州立大学が開発した意思決定支援ツール)から得られた係数を用いたカーボンアカウンティング(炭素会計)の枠組みが使用された。その結果、過去30年間に農地が正味の炭素排出源から正味の炭素隔離源へと変化したことが定量的に示された。

さらに、この研究から今のところ相関関係ではあるが、遺伝子組み換えの除草剤耐性作物とグリホサート系除草剤の使用が土壌の炭素貯留量増加の理由であることが確認された。不耕起と最小限の耕起の採用により、耕起から放出される炭素量は減少し、継続的な作物生産による炭素の隔離が増加していることが明らかになった。

持続可能な農地管理にグリホサートも貢献

この研究では、遺伝子組み換え作物とグリホサート系除草剤が、農業の持続可能性の向上に必要な貢献をしていることが確認できた。それと同時に、いずれの技術も使わずに、またはそれぞれの技術の使用に大きな制約されることなく、炭素隔離量の増加を期待している地域が直面している課題についても洞察を与えている。

サスカチュワン州の農家は、持続可能な農地管理を継続的に維持するためには、グリホサート系除草剤とそれを補完するHT作物(除草剤耐性の遺伝子組み換え作物)の使用がいかに重要かを認識している。これらの技術のいずれか、または両方を禁止したり制限したりすれば、持続可能性に悪影響を及ぼすことが考えられる。

原文 https://geneticliteracyproject.org/2021/11/24/glyphosate-herbicide-key-driver-of-reduced-carbon-emissions-in-agriculture-academic-study-finds/
グリホサート系除草剤が農業における炭素排出量削減の主要なドライバーであることが学術研究により判明(Chelsea Sutherland, Savannah Gleim, Stuart Smyth | Multidisciplinary Digital Publishing Institute (MDPI), 2021年11月24日公開)を翻訳・編集した。

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