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オーガニック食の推進が環境の良いは本当か

食と農のウワサ

有機・オーガニックの市場拡大を訴える人たちの間でまことしやかに流れる噂話がある。「農業での脱炭素を後押しするためにも、消費者は有機野菜を積極的に購入しないといけない」というもの。この言説は本当だろうか? 前回の記事では有機食材が「安全でも健康的でも美味しくもない」ことを解説した。AGRI FACT執筆者で農業ジャーナリストの浅川芳裕氏のツイートをもとに検証する。

脱炭素に逆行して地球温暖化に悪影響

たとえば、2021年に農水省が農林水産でのCO2排出量を2050年までにゼロにする中長期戦略(農林水産業のCO2ゼロエミッション化)をまとめたことを受け、企業の環境経営を支援する会社は「農業での脱炭素を後押しする為にも、消費者は有機野菜を積極的に購入していかなきゃ」 とツイートした。しかし、「有機野菜を積極的に購入すると、脱炭素に逆行して、地球温暖化に悪影響を与えかねない」のが実態だ。

有機野菜の栽培は収穫量が少なく、使用する燃料や肥料のムダが多いため、温室効果ガスの排出量が一般的な慣行栽培の野菜と比べて約4割も増えてしまう。しかも脱炭素に逆行する理由はそれだけではない。低収量の有機栽培で減った生産量を補うには新たな耕地か輸入量を増やすしかない。森林開墾や輸送の増加で温室効果ガスの排出量は当然増える。

温室効果ガス増加中のEUを真似してはならない

有機・オーガニック推進派からは脱炭素でも「有機を推進するEUの真似をしよう」という声が多い。 が、これもEUの現実を無視した意見だ。有機推進のEUではむしろ農業の温室効果ガスの排出量が増えており、「日本農業の排出量はすでに減ってきている」 からである。脱炭素に逆行するEUの真似をしてはならない。

「有機栽培のほうが一般的な慣行栽培より温室効果ガスの排出量が多い」というのがさまざまな実証研究に共通する結論である。有機栽培は肥料や除草作業用の燃料などのインプットに対し、アウトプットの収穫量が低いので当然の帰結だ。非効率な農業生産では脱炭素は実現できない。

 

筆者

AGRIFACT編集部

 

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