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自閉症の疑いがある子どもが病院で検査を受けると、腸内にクロストリジウムという細菌が大量に増え、尿1リットル中なら8.7μgのグリホサートが検出されたそうです。本当だとしたら大変なことですよね。
科学的根拠がまったくない言説です。腸内細菌と自閉症の関係も、グリホサートとクロストリジウム属の腸内細菌の関係も、科学的には証明されていません。単なる俗説です。
確かに文献を検索すると「クロストリジウム属の腸内細菌の増加と自閉症には関係がある」という論文と、「家畜や実験動物の消化管でグリホサートがクロストリジウム属の腸内細菌を増やす」というものがあり、仮説としてはかろうじて成立しますが、事実としては証明されていません。
参考
また尿から検出されたグリホサートの量8.7μgは、言い換えると0.0087mgです。この数値は、通常、人の尿から検出される量と比較してどの程度でしょうか。人の尿を検査すると、通常1〜10μg/ℓ(1μg=0.001mg、つまり0.001〜0.01mg/ℓ)のグリホサートが検出されるといわれています。つまり通常範囲です。
さらにグリホサートのADI(一日摂取許容量)は「体重1kgあたり1mg/日」です。仮に子どもの体重が15kgだとすれば、1日の摂取許容量が15mgとなります。
その15mgと、尿から検出される0.0087mg/ℓという量を比べてみましょう。許容量のわずか1,700分の一ほどの極微量だとわかります。まったく心配いりません。
※週刊新潮ファクトチェックより抜粋・再編集