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最終回 全米小麦生産者協会による小麦生産でのグリホサート使用のまとめ グリホサートの真実 Part5 ファイナル【アメリカ産小麦は安全か】

食と農のウワサ

グリホサートほど誤った情報が拡散され、風評被害を被っている農薬はない。対策の一環として全米小麦生産者協会では、アメリカの小麦生産におけるグリホサート使用に関する“事実”を2017年に「グリホサートの真実」という5回シリーズにまとめた。最終回のPart5はアメリカの小麦生産におけるグリホサートの使用について、わかっている“事実”をすべて振り返ってみたい。

グリホサートとは何か

グリホサートは「非選択性」の除草剤ラウンドアップに含まれる有効成分で、雑草を防除するために使用される。非選択性除草剤はほとんどの植物を駆除するが、選択性除草剤は特定の種類の植物を駆除するように設計されている。

農家は作物の作付け前に非選択性除草剤を散布して雑草を駆除する。多くの農家がグリホサート系除草剤を選択するのは、多くの種類の雑草を防除するためのシンプルでコスト効率の高い方法だからである。グリホサート系除草剤は、農業以外の分野でも人気があり、庭や芝生の上の雑草を駆除するのにもよく使われている。

アメリカ小麦生産での使用割合は約30%

アメリカの小麦のうち、グリホサートが散布されているのは約30%で、これは過去3年間ほぼ同じ。散布のほとんどは小麦の出穂前に行われる。グリホサートを含むすべての農薬を規制しているアメリカ環境保護庁(EPA)は、この使用を「バーンダウン」または「ケムファロー」処理と呼び、「出芽前」の散布とみなし、畑(圃場)に小麦の苗が出てきていない段階で行われる。

プレハーベスト処理としてのグリホサート散布

圃場に小麦の苗があるときに行われる散布は、植物が成熟を終えたあとの収穫期前、つまりプレハーベストに行われる。プレハーベスト散布の使用量は過去10年間一定しており、小麦生産面積の約3%にすぎない。

収穫期を調整するためのプレハーベスト処理の散布は、小麦の核の発達が完了し、作物が成熟した後に行われる。

そして研究者が異なる条件・時期にプレハーベスト処理されたアメリカ産小麦のグリホサート残留レベルを調べたところ、すべてのケースで、グリホサートの残留レベルは散布率や時期にかかわらず、EPAが設定した残留基準値を下回った。これらの結果は、ヨーロッパで収集された穀物中のグリホサート残留物に関するデータと一致している。

不耕起栽培への移行

アメリカ農務省(USDA)は、アメリカ国内の農場管理方法に関するデータを監視・収集している。このデータにより、米国農務省、環境保護庁、食品医薬品局は、米国の食糧供給の安全性を正確に評価し、リスクと利益を評価し、製品登録に関する決定を行い、保全活動の利益を定量化し、商品を国際的に販売することが可能になる。

米国農務省のデータによると、1989 年以降、グレートプレーンズの北部と中部では、不耕起栽培Part1も参照)小麦の生産面積の割合が 5%未満から 20%以上に増加している。

不耕起栽培面積の増加は、有害な雑草を管理するためにグリホサートの発芽前使用を増やしたことで可能になった。不耕起栽培とは、耕すことで土壌を荒らさずに年々作物を育てる方法である。不耕起栽培は、土壌に浸透する水の量を増やし、土壌侵食を減らす農業技術で、大きなメリットは土壌の生物学的肥沃度を向上させることで土壌の回復力を高め、継続的な作物生産を可能にすることだ。

この記事は、全米小麦生産者協会のWebサイトに掲載された The Facts About Glyphosate, Part 5: Glyphosate Use in Wheat – A RecapをAGRI FACT編集部が翻訳・編集した。

第1回はこちら

【アメリカ産小麦は安全か】記事一覧

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