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第7回 全米小麦生産者協会が小麦生産の風評被害を正す グリホサートの真実Part1【アメリカ産小麦は安全か】

アメリカ産小麦は安全か

グリホサートほど誤った情報が拡散され、風評被害を被っている農薬はない。対策の一環として全米小麦生産者協会では、アメリカの小麦生産におけるグリホサート使用に関する“事実”を2017年に「グリホサートの真実」という5回シリーズにまとめた。Part1はグリホサート使用の事実を明らかにする。

グリホサートとは

アメリカでは42の州で、さまざまな気象条件のもと、小麦の生産が行われている。小麦生産者は持続可能で経済的に成り立つ高品質な小麦を栽培するために、多くの課題に直面しており、その一つが雑草だ。グリホサート系除草剤はイネ科の雑草を駆除するのに大変効果的である。

グリホサートは、ほとんどの雑草を駆除する「非選択性」除草剤の有効成分であり、通常は作物の植え付け前に雑草を駆除する目的で使用される。グリホサート系除草剤は、多くの種類の雑草を防除できる費用対効果の高い農薬として農家で頻繁に使用されるだけでなく、庭や芝生の雑草を駆除するのにもよく使われている。

グリホサートは、人間や環境に有害な影響を与えず安全に使用できることを保証するために、世界各国の規制機関で徹底的に審査され、世界150カ国以上で安全な農薬として登録されている。消費者が摂取する食品の安全性を確保し、グリホサートを使用する人々を保護するための法律は、農家や住宅所有者、その他の土地管理者がグリホサート系除草剤のラウンドアップを使用しても安全性を確保できる方法を規定している。すべての農薬のラベルには使用方法が記載され、使用者はそれに従わなければならない。

グリホサートの安全性については多くの誤った主張が拡散されている。しかし実際には、世界中の規制当局や科学者は、グリホサートをラベルの指示に従って使用した場合、人の健康、環境、非標的動物や植物に悪影響を与えることはないと結論づけている。

小麦生産でのグリホサート使用は限定的

実は、小麦生産におけるグリホサートの使用は限られており、一部の小麦畑では全く使用されていない場合もある。独立系調査会社によると、2016年はアメリカの小麦生産面積のうち、使用されたのは33%だった。

一般的に、小麦生産でのグリホサート散布は、休耕期に行われる。ただし、グリホサートの散布量と使用量は、不耕起栽培や耕起を最小限にする栽培など、生産方法にも左右される。

不耕起栽培は、土壌を耕さないので、作物残さ、さらには土壌有機物の分解が遅れること、土壌侵食が抑制されること等から、表層土壌中の炭素の貯留に効果が高いと言われる。また、表層土壌における有機物増加に伴う生物多様性の保全効果に加え、生産の省力化、燃料の節減等を通じた生産コストの低減等にも一定の効果を有する。

米国農務省の最新の農業センサスによると、不耕起栽培や耕起を最小限にする栽培法が増加したと報告されている。栽培法のシフトにより、小麦業界では雑草をコントロールし、土壌の水分を保持するために、グリホサートの使用量が増加していることが観測されているが、他のコモディティ作物と比較すると、その使用量はまだまだ低いのが実状だ。

小麦生産においてグリホサートの用途は4つあり、最初の2つが最も一般的である。

まず、作付け前、作付け時、作付け後の小麦の発芽前に散布することで、生育期間中の雑草の競合を最小限に抑える。この方法は不耕起栽培で最も一般的な使用法である。

次に、休耕時散布とは、収穫後の作物がないときに散布し、貴重な土壌の水分を雑草に使わせないようにする。この方法は、アメリカ西部や半乾燥小麦生産地域で最も一般的に行われている。

そして、収穫前の散布で、小麦の粒が発達し、作物が成熟しきったあとに行うプレハーベスト。これは、全小麦生産面積の3%以下で使用される珍しい処理である。

最後の、作物の破壊は、雑草、虫、病気、悪天候などにより、生育中の小麦が収穫できなくなった場合に使用する。もちろん、収穫できる穀物はない。

アメリカ環境保護庁(EPA)が作成した製品ラベルには、これらの使用方法が記載されている。例えば、収穫前散布では、グリホサートは小麦の水分が30%以下の時にのみ散布でき、収穫の7日前までに散布し終えなければならない。

この散布によって雑草が枯れ、小麦が収穫・貯蔵可能な水分レベルまで乾燥し続けることが可能になる。また、雑草を刈ることなく、コンバインが畑を移動して作物を収穫することができる。

小麦生産者には、雑草をコントロールして作物を管理するための選択肢があり、除草剤は生産者の作物生産の「道具箱」の中の1つのツールだ。グリホサートは、指示通りに使用すれば、農家にとって効果的で実証済みの雑草管理ツールであり、農家や農業従事者、環境に悪影響をおよぼすことはない。

この記事は、全米小麦生産者協会のWebサイトに掲載されたThe Facts About Glyphosate, Part 1: How Do Wheat Growers Use Glyphosate? をAGRI FACT編集部が翻訳・編集した。

第8回へ続く

【アメリカ産小麦は安全か】記事一覧

 

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