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有機給食の根拠でもある安全・健康・美味しいのエビデンスはない

食と農のウワサ

世間には有機・オーガニック食材に関する誤解が広がっている。それは有機農法で生産された野菜が一般的な慣行農法で栽培された野菜より、安全で健康的、なおかつ美味しいという誤解だ。世界の過去50年の研究をみても、有機食材が「安全で健康的で美味しい」とするエビデンスはない。つまり有機食材は「安全でもなければ健康で身体によいわけでもなく美味しくもない」のだ。こうしたファクトに基づかない間違った情報の流布は消費者にとっても社会にとってもデメリットがあまりに大きい。学校給食への有機食材導入活動はその悪例の典型である。

有機の選択は個人の「心の平安」問題

有機食材に関して「安全で健康的、なおかつ美味しい」とする科学的なエビデンスがない以上、有機食はオーガニック信仰に近い。食の安心にどこか不安を感じている個々の消費者は、有機野菜を選択的に購入・摂取することで「心の平安」を得るわけだ。科学的根拠に基づく安全性とは何の関係もないが、個人の選択・信仰の自由は尊重される必要がある。しかし、政治家や行政が有機食材の誤情報を鵜吞みにして農家や消費者の選択に介入することはあってはならない。

有機=無農薬ではない

そもそも有機=無農薬ではない。世界の有機認証では使用可能な多数の農薬が存在する。使用許可のルールは、同じ化学物質(肥料・農薬成分)でも「化学合成」は排除、「天然由来」は認める自然信仰の体系なのだが、科学的なリスク評価がなされていないため、安全性はまったく保証されていない。しかも化学農薬の毒性は半世紀で9割減少し、現在も低下中に対して、有機農薬の毒性低下率はゼロのまま。天然であるが故に、今後も低下は不可能だ。

農薬使用で発達障害が増えるのトンデモ

根拠のない「農薬使用国との相関」から「発達障害の原因は農薬」と断定する‟給食の有機化”運動が教育者の間で広がっている。これは相関関係=因果関係とするトンデモ論の典型である。

有機推進で農薬使用量は増える

オーガニック推進派が手本にせよというEUのフランス。フランス政府は2008年に「10年で農薬50%減」を国策に掲げ、「農薬税」の導入や何千億もの予算を投下した。政策の効果はというと、農薬の売り上げが急増した。2018年のデータでは殺菌剤134%、除草剤125%、殺虫剤106%へと増加。農家は政治家や活動家の空想には付き合いきれないと、持続的な生産に必要な農薬在庫の確保などの対策に走ったのだ。農薬使用が急増した理由はほかにもある。「有機農業で認められた農薬」の推進政策である。

無農薬野菜を食べても毒性物質の99.99%は排除できない

科学に基づかない有機推進政策は農家のムダな仕事を増やし、利益を減少させ、農業を後退させる。ここで「農薬使用を認める有機だから問題」で、「完全無農薬ならそうした問題は発生しない」という反論があるかもしれない。ではプロ農家にとっては常識のある意味、身も蓋もない事実を紹介する。人が農産物を通して摂取する毒性物質の99.99%は天然由来の有機化合物であり、食品に残留する農薬由来のものは0.01%にすぎない。人は農薬の1万倍もの天然毒性物質を毎日食べて摂取しているので、一般的な慣行野菜と有機・無農薬野菜のどちらを食べても99.99%同じ量の毒性物質を摂取している。そこに有意差はない。

誤情報に基づく学校給食有機化活動に対抗する

有機・オーガニック食材とは結局のところ ①無農薬ではない ②安全ではない ③高栄養ではない ④欠品率/返品率が高い ⑤なのに値段が高い、という特徴を持つ。

しかし、有機食材の誤情報や誤ったイメージを利用して導入を迫る「学校給食の有機化」活動に対して、ほとんどの行政担当者は対応を間違えている。「それは理想ですが、安定供給できないから現実的には無理なのです」といった回答は相手に付け入る隙を与えてしまう。活動家から次に「安定的に調達できる外国産の有機バナナを見つけてきました」と詰められると、担当者は論破され、2021年秋に政令指定都市で初めて小学校給食に「メキシコ産のオーガニックバナナ」が導入された名古屋市のようになる。最初から科学的知見に基づく完全否定が重要であり、活動家の政治介入を止める唯一の対抗策である。

 

筆者

AGRIFACT編集部

 

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