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最終回 グリホサートの使用禁止は世界の食料危機に直結【日本・世界の「反グリホサート運動」の真相】
AGRI FACT執筆者でもある農業ジャーナリストの浅川芳裕氏が「日本・世界の反グリホサート運動の真相」と題し、オンライン講演を行った(2021年6月20日「食のリスクコミュニケーション・フォーラム2021」第2回)。その中で、浅川氏はグリホサート問題の中心地IARC(国際がん研究機関)の内部と背後で蠢く人たちの腐敗ビジネスに鋭く言及し、食の不安を煽って農業や社会を歪める構造の正体を浮き彫りにした。最終回は『グリホサートの使用禁止は世界の食料危機に直結』をお届けする。(Vol.11はこちら)
反グリホサート運動が
引き起こす食料危機
影響を受けるのは、北米だけではありません。世界全体で例えば大豆では2割ほど減収すると試算されています。とくに大豆の大産地である南米では半減するとの推定もあります。なぜなら南米は、北米以上に不耕起栽培が多いから。
小麦などを収穫後、耕耘や整地の工程を省略した不耕起のまま大豆をすぐに植える作付け体系のことです。グリホサートとグリホサート耐性のGMO(遺伝子組み換え作物)のセットで今の作付け体系を実現できているので、これが失われてしまうと収益性が一気に下がり、農家は作付け自体をやめてしまう公算が高い。
農家が代わりにF1品種を作付けするにしても耕起、除草作業が増えるので、使用燃料の増加、労働量の増加、それに伴う二酸化炭素の排出量の増加といった負の影響は多大です。有効な除草剤が使用できなくなり、作付け体系が崩れるというのはそういうことなんです。
GMトウモロコシでも同様のことがおきます。世界一の生産量を誇るトウモロコシ、小麦・米に続き、世界4位の生産量の大豆の生産が一気に不安定化するのです。世界の食料事情に大きな影響がでることは間違いありません。
グリホサート反対運動を野放しにすれば、誤った見地にたって食料危機を人為的に引き起こしてしまうことになりかねません。それは、反対運動ビジネスの思う壺です。私がグリホサート反対運動の真相を追及し、IARCの廃止運動を提言するのはこの危機から脱出するためです。