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仮説が成立していない! 自閉症・発達障害とグリホサートの因果関係

コラム・マンガ

除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートが「自閉症や発達障害の原因だ」という主張があります。なかでも代表的なものは下記の2つです。
●グリホサートが体内のマンガンと結合して、先天異常・自閉症を引き起こす
 →過激な反グリホサート研究で知られる米国のセネフ博士・サムセル博士
●自閉症の要因であるリーキーガット症候群を引き起こす
 →一部の医療関係者
ここでは、それぞれの主張について科学的に検証していきます。

主張する仮説の根拠となる事実がない

最初に「グリホサートが体内のマンガンと結合して、先天異常・自閉症を引き起こす」というセネフ博士・サムセル博士の主張をみていきましょう。

両博士は論文のなかで、グリホサートがマンガンと結合し、栄養素としてのマンガンが減少することで特定の身体機能が損なわれた結果、自閉症の原因となる、という発症メカニズムの仮説を唱えています。

マンガンは代謝に関わる栄養素で、人体に欠かせない必須ミネラルの一つです。このため体内でのマンガンのバランスが崩れた場合、骨などの発育不全や運動障害といった症状があらわれる可能性はあります。

しかし、ここで問題なのはグリホサートとマンガンとの関係を示す事実が一切ないことです。両博士はこの説を裏付けるために328の文献を引用していますが、このうちマンガンとの関連を述べた引用文献は一つだけです。

しかもその論文は乳牛を対象としたもので、ウシの尿に含まれるグリホサートの量とマンガン濃度との関連は不明という内容でした。

つまり、この仮説は根拠となる事実がそもそも存在していないので、単なる思いつき、結論ありきの主張であり、科学的な検証に耐えうるものではありません。その他にもグリホサートが発達障害の原因だと証明した科学論文は存在しません。

「三段論法」を誤用した疑似科学

もう一つ、両博士の主張で問題なのは、科学的根拠のない「グリホサートはマンガンと結合する」「マンガン不足が精子の運動性に影響する」という2つの主張から、「精子の異常は不妊と先天異常、ひいては自閉症の原因である」という誤った結論を導き出していることです。

この論理展開の言い換えが「グリホサートは自閉症の原因である」という主張です。

この両博士の主張は誤った「三段論法」によるもので、科学的には認められません。誤った三段論法とは、一般的な前提となる2つの理由・事実をつなぎ合わせて、「自分の好きなように」結論を作り上げる疑似科学の常套手法です。身近なジャンケンを使った例でみてみましょう。

理由1:グーはチョキより強い 
理由2:チョキはパーより強い 
結論:だからグーはパーより強い

最終的にグーは、実際にはありえないパーにすら勝てる最強のカードと結論付けられました。

以上のように、最初の主張は「そもそも根拠となる事実がない」「誤った三段論法」という二つの理由から、科学的に誤りと判断できます。

リーキーガット症候群は医学上存在しない

また、グリホサートは「自閉症の要因であるリーキーガット症候群を引き起こす」という主張もあります。その根拠として、以下のような理由が述べられることがあります。

段階1:リーキーガット症候群により腸の粘膜に小さな穴が開く
段階2:その穴からクロストリジウム(病原菌)が侵入し、脳神経の炎症を引き起こす
段階3:理由がないのに(子どもが)突然怒り出す

そもそも「リーキーガット症候群」は一部の利権者が、その存在を信じている病気に過ぎません。提唱者曰く、腸の粘膜に小さな穴が開くことで毒物や病原菌が血流に入り、全身に持続的な炎症を生じさせる疾患とのことです。

しかし「医学上存在しない疾患」をグリホサートが引き起こすことは不可能なので、第一段階の時点で不成立であり、この主張も科学的に誤りとなります。

自閉症や発達障害の要因がグリホサートとする2つの仮説(主張)を検証した結果、いずれも仮説の根拠となる科学的に検証された事実が存在しないため、論理展開に飛躍があるグリホサートとの関係を詳細に検討する以前に「科学的に誤り」と判断されます。

参考


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