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10. 食品添加物には複数の働きがあり、用途によって 表示も異なる【食品添加物をめぐる重要な10項目】
食品添加物にはひとつの用途に限って使われるものと、複数の用途で使われるものがある。例えば、L-アスコルビン酸(ビタミンC) は栄養強化剤以外に、酸化防止剤、製パン性改良剤としても利用さ れている。食品添加物の用途によって表示も異なる。酸化防止剤の用途で用いるときは酸化防止剤(ビタミンC)と併記するが、製パン性改良や、栄養強化の用途では「ビタミンC」と物質名で表示しなければならない。栄養強化目的の場合、表示免除なので表示しなくてもかまわない。
添加物は、その物質の特性から、一つの用途に限って使われるものと複数の用途で使われるものがあります。食品添加物の一覧表などでは、添加物ごとの主要な用途が示されていますが、使用基準で用途や使用できる食品に制限のあるものを除けば、添加物の用途は使用した食品メーカーの使用目的に委ねられています。
(1)複数のはたらきのあるビタミンC
ビタミンCの名称でよく知られるL-アスコルビン酸は、デンプン由来のブドウ糖を原料にしてつくられます。水溶性ビタミンでビタミンCの栄養強化の効果があります。また、酸性で強い還元作用があるため、酸化防止剤としてリンゴ混濁果汁の褐変、漬物の変色や風味の劣化を防止します。食品中で酸化されると、酸化剤としてのはたらきをもつようになり、パンの品質改良剤としても使われます。このようにビタミンCは複数のはたらきがあります。
酸化防止剤は、酸化による品質の低下を防ぐために使われます。酸化防止剤を含む特定の用途で食品添加物を使用した場合には、用途名を物質名とともに表記することが義務づけられているので、ビタミンCを酸化防止の目的で使ったときは、酸化防止剤(アスコルビン酸)あるいは酸化防止剤(V.C)のように表示します。V.CはビタミンCの簡略名です。パンなどに品質改良剤として使用された場合は「ビタミンC」のように物質名で表示します。ただし、栄養強化剤として使用する場合は、表示の免除規定があります。
※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ」にある「食品添加物編」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。