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【誤り】検証内容「グリホサート(ラウンドアップの主成分)はラットの実験で2代3代と、代を重ねるごとに異常が増幅される」山田正彦氏(元農水大臣)
「グリホサート(ラウンドアップの主成分)はラットの実験で2代3代と、代を重ねるごとに異常が増幅される」 山田正彦氏(元農水大臣)
AGRI FACTによるファクトチェック結果
【その理由は?】
グリホサートの親・子・孫3世代への影響を調べる繁殖試験の結果、繁殖能力に影響はなく、毒性所見の発現もなかったため。
AGRI FACTのファクトチェック【対象と選択基準】
AGRI FACTのファクトチェック【評価基準と判定】
以上の要旨はAGRI FACT事務局が作成したものです。
詳細は以下でご確認ください。
農業にまつわる噂・ニュースの真偽検証サイト AGRI FACT(アグリファクト)は、2019年11月30日、「グリホサート(ラウンドアップの主成分)はラットの実験で2代3代と、代を重ねるごとに異常が増幅される」山田正彦氏(元農水大臣)との記述についてファクトチェックを行い、「科学的根拠なし」とする調査結果を発表した。
ファクトチェックした記述内容
「グリホサート(ラウンドアップの主成分)はラットの実験で2代3代と、代を重ねるごとに異常が増幅される」
記述内容の原文(検証対象は太字部分)と出典
グリホサートはラットの実験で2代3代と、代を重ねるごとに異常が増幅されるそうで、 許容される値はないそうです。
出典:山田正彦氏(元農水大臣)のブログ(2019年06月20日)
(https://ameblo.jp/yamada-masahiko/entry-12483540404.html)
ファクトチェックの検証結果
食品の安全を守るために設置された国の専門機関である食品安全委員会は、食品中の化学物質の安全性を検証するため、妊娠中の母動物に化学物質を与えて、胎児に何らかの形態的異常が出ないか調べている。もし異常が確認されれば、その化学物質を農薬として使用することは禁止される。
そうした試験を「繁殖毒性試験」とよび、ラットやマウスなどに化学物質を一定期間投与した後で交配し、親動物の繁殖能力と児動物の発育状況を検査する一世代繁殖試験、さらに投与を継続して孫世代の動物の発育状況まで調べる二世代繁殖試験により、化学物質の作用が調べられる。二世代繁殖試験では、子世代の動物が孫世代の動物を支障なく出産し、児動物が正常に育つことを確認するので、3世代にわたる影響を調べることになる。3世代を経ても繁殖毒性が発現しなければ、それ以上世代を繰り返して試験を継続しても悪影響が現れることは理論的にはあり得ず、これは実験上も確認されている。
食品安全委員会の「グリホサート評価書」によれば、ラットを使用した2世代と3世代の繁殖試験をした結果、30000ppmという高濃度では体重増加の抑制が認められたが、親・子世代の繁殖能力に影響はなく、3世代で毒性所見の発現も認められていない。
また、孫世代に異常が出るのは化学物質により遺伝子に異常が起きた場合だが、グリホサートにはそのような作用がないことが複数の遺伝子毒性試験により証明されている。そのような試験結果からグリホサートの安全性が認められ、世界各国において農薬として利用することが許可されている。
このような事実から、「グリホサート(ラウンドアップの主成分)はラットの実験で2代3代と、代を重ねるごとに異常が増幅される」という記述は「科学的根拠なし」(評価基準と判定)と判断される。