会員募集 ご寄付 お問い合わせ AGRI FACTとは
本サイトはAGRI FACTに賛同する個人・団体から寄付・委託を受け、農業技術通信社が制作・編集・運営しています
疫学調査では発がん性と関連があるという論文が出ているのはどうしてですか?
A 疫学調査の検証手法は、人の生活習慣と病気の関係を調査する方法です。ところが、人の生活習慣は実に多種多様であるため、一つの要因を病気の原因として確定することはとても難しいという疫学調査ならではの制約があります。
この制約は「相関関係と因果関係」の問題として知られ、例えば疫学調査で「薄毛の人の多くは養毛剤を使っていた。だから薄毛の原因は養毛剤である」といった間違った結論を導き出す可能性があるのです。
疫学調査でラウンドアップと発がん性の関連を示唆する論文は存在しますが、方法論に疑問点があったり、別の実験方法によりその結論が裏付けられなかったなどの問題があります。
では、疫学調査の結果が正しいかどうかはどうやって検証するのでしょうか。
それにはやはり毒性学的手法を用います。毒性学的手法によって検証し、「発がん性と関連がある」という疫学調査の結果が裏付けられて初めて結論が確定します。
疫学調査は食品の安全を確認する方法としてはあくまで参考資料であり、世界の規制機関も疫学調査だけで安全性を確定することはしていないのです。
回答者唐木英明(公益財団法人食の安全・安心財団理事長、東京大学名誉教授) 回答日2019年10月26日 |
注:商品名『ラウンドアップ』の有効成分名は「グリホサート」と言い、Q&Aでは2つの名称をその都度使い分けていますが、実質的には同じものだとご理解ください。