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現場発! 有機栽培25%を達成するために。現場発の逆転の奇策

農家のホンネ

農水省の中長期的な戦略として「みどりの食料システム戦略」が発表されたのをご存知でしょうか。

みどりの食料システム戦略~食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現~:農林水産省 (maff.go.jp)

言うなれば、「SDGsの日本農業バージョン」。
欧州に合わせた高い目標を掲げて、国際社会をリードしたいという日本政府の思惑があるようです。しかしその具体的な取組や内容については批判が多く、農家の僕としても達成は不可能に感じます。
とくにこの戦略のKPI(重要業績評価指数)の中に、〈2050年までに有機栽培の耕作面積を25%、100万haまで増やす〉という項目がありますが、現状は1%にも達していません。具体的な取組や内容にツッコみ出すと本当にキリがないので……
今回は「有機栽培の耕作面積を25%を達成するために。現場発の逆転の奇策」を農家の僕が4つ提案します。


①有機JAS認定料を無料にする

みどりの食料戦略システムでは、有機JASを増やすではなく「有機栽培」を増やすとしています。
これが有機JAS認定を増やすという意味ならば、有機JAS認定料を無料にすることは有効です。
有機JAS認定を取らないことには、有機野菜と表示することはできません。しかし、この有機JAS認定料が高い! 認定機関によって異なりますが、申請を取るのに約4、5万円、年次調査で約2、3万円程度かかります。さらに、調査員の旅費交通費も負担することもあります。
有機登録認証機関一覧:農林水産省 (maff.go.jp)

「少なくないお金を払ってまで、有機JAS認定を取らなくてもいいのでは?」と、農家が考えるのは当然です。この認定料がネックになっていて、有機栽培の目標を達成しているけど有機JASを登録していない「隠れ有機栽培農家」がけっこういます。

日本の有機農業の取扱面積

出典:「みどりの食料システム戦略」中間とりまとめ参考資料

無料で有機JAS認定を取れるのであれば、隠れ有機栽培農家は正式に有機JAS認定を取るでしょうし、新たに有機栽培を始める農家も増えるのではないでしょうか。

②水耕栽培や植物工場もOKにする

2つ目は、水耕栽培や植物工場なども有機栽培と認めることです。現在行われている水耕栽培や植物工場は、有機栽培には当てはまりませんが、化学農薬(以下農薬)をほぼ使わずに済む作物もあります。

• 栽培日数が少なくてすむ葉物野菜
• 完全密閉された植物工場

これらは無農薬もしくは農薬をほぼ使わずとも栽培が可能です。
消費者が思い浮かべるような、自然の中で育てた野菜ではないかもしれません。しかし、農薬使用削減の観点からこれらの栽培も有機野菜と認められるのなら有機栽培面積は比較的簡単に増やせるはずです。

③有機栽培に使用できる農薬や肥料を増やす

3つ目は、有機栽培に使用できる肥料や農薬を増やすことです。
有機栽培がどうしても広まらない要因として、以下があります。

• 使用できる農薬が限られていて、病害虫の被害が大きい
• 有機質肥料と比べて格段に肥効を計算しやすい化学肥料が使用できない

高温多湿の日本では病害虫の被害が大きくなるので、使用できる農薬が限られる有機栽培ではほとんどの作物で収量を落とします。現状では有機栽培で使用が認められている農薬はごくわずかです。

そこで、有機栽培に使える農薬を増やしてはどうでしょうか。新たに開発される新剤についても、どんどん使用を認めましょう!

いろいろな種類の農薬を使用できれば病害虫の被害も軽減できますし、抵抗性もつきにくいです。
「農薬が使えるなら、有機栽培をしてみてもいいかな」と考える農家もいるはずです。

また、有機質肥料より化学肥料の方が温度や季節に関係なく安定した肥効があるため、収量も上がりやすいです。収量を落として嬉しい慣行栽培農家はいません。ある程度の化学肥料の使用は認めた方が、有機栽培農家を増やすのには有効かと思います。

④補助金をたくさん出す

4つ目は、目標達成のために補助金をたくさん出すことです。やはりお金をたくさんつぎ込むことが、目標達成の可能性を上げる最大のポイントになると思います。

「補助金を出すから、有機栽培25%目標に協力してくれ!」という感じで、農家や肥料農薬会社、機械メーカーに対してお願いするしかないように感じます。なぜなら、
• 慣行栽培から有機栽培に移行する農家が増えないとダメ
• 肥料や農薬の新技術がないと有機栽培面積は増えない
• 労力がかかる有機栽培には機械メーカーの努力も欠かせない
からです。

ヘタをすれば潰れるリスクを抱えるのに、お願いされるだけでは全く取り組もうと思えません。
それならば、補助金をある程度出して政府の目標に協力してもらうしかないと思います。相当の補助金を出す気概を政府が見せないと、有機栽培は日本では広まらないでしょう。

まとめ

今回は「有機栽培25%目標を達成するにはどうすべきか」について考察しました。
僕の「逆転の奇策」は、国際的な有機JAS規格との齟齬や莫大な補助金投入、日本の消費者の理解など、ツッコミどころがたくさんあります。
しかしここまでしても、「2050年までに有機栽培面積を25%、100万ha」は高い難易度なのです。言い換えれば、「現状1%にも満たない有機栽培面積を、単純計算で毎年3万haずつ増やす」という無謀な目標なのですから。

僕は現在、慣行栽培でナス栽培をしています。しかし実際の農業の状況を無視した政策に乗ってまで、強引に有機栽培に移行したいとは思いません。みどりの食料システム戦略に対して、政府がどこまで本気なのか。一農家として、これからの政府の動きに注目していきます。

筆者

ナス男

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