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3. 食品添加物がないと食中毒のリスクが高まる【食品添加物をめぐる重要な10項目】
食品のリスクで一番大きいのは、食中毒である。2015年の食中毒の総患者数は約23,000 人と報告されており、食品事業者や消費者すべてが努力し続けなければ、食中毒を防止することは難しい。食品添加物の保存料は食中毒の原因菌の繁殖を抑え、食中毒のリスクを低減させる。また、食品の日持ちを向上させている。
食品のリスクで一番大きなものは、食中毒です。日本の食中毒の総患者数は2015年には約23,000人と発表されています。その原因の多くは、ノロウイルスなどのウイルスやサルモネラ菌など細菌です。食中毒のリスクの低下や食品の日持ちの向上のために食品添加物が使われています。
(1)食中毒菌の繁殖を抑える
私たちは昔から、食品を腐らせないようにと魚や野菜を塩につけたり、肉にスパイスを加えたりして保存性を高めてきました。現在の食生活では、加工食品の種類も増え、製造後、消費者の口に入るまでに包装や流通などさまざまなルートを経ています。また、近年、消費者の健康志向により食品の減塩や低糖化が進んでいます。このような傾向は、食品の保存性にとってはあまりよい条件ではありません。食品衛生についての様々な対策が取られていますが、それでも毎年かなりの数の食中毒が発生しています。
食中毒のおもな原因は微生物です。食品添加物の保存料は、食中毒を引き起こす微生物の繁殖も抑える(図3-2)ので、食中毒のリスクの低減に役立ちます。スーパーやコンビニで販売している弁当や総菜では保存料が使われ、安全性を保っています。食品の保存性が高まると、食品の廃棄を減らすことにもつながり、食糧資源の有効利用になります。
(2)食品の品質を保つ
食品の品質を保つために使われる食品添加物には、保存料や 殺菌料、酸化防止剤などがあります(表3-2)
保存料は、食品の腐敗や変敗の原因となる細菌やカビなどの微生物の増殖を抑え、保存性を高める目的で使われます。保存の効果は、食品中の微生物の種類や食品の pH 、保存条件など で変化します。食品添加物は少量で効果があるので、うまみや 風味を損なわずに食品を保存できます。
保存料には、醤油やマーガリンなどに使われる安息香酸ナトリウムや魚肉練り製品や漬物などに使われるソルビン酸カリウムなどがあります。また、魚類の精巣(しらこ)から抽出したしらこたん白や放線菌が産生するポリリシンなどもよく使われます。
※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ」にある「食品添加物編」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。