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第4回 残留農薬の基準はだれが設定しているのか【農薬について知ろう】

コラム・マンガ

農薬の安全性が気になる人の不安を解消すべく、残留農薬を中心に、農薬の使用目的や安全性、検出法などについて、サイエンスライターの佐藤成美がシリーズで解説していくこの連載。第4回は「残留農薬の基準は誰が決めているのか」という疑問に答えます。

残留農薬の基準設定には多数の機関が関わる

食品には農薬が微量に残留している可能性があり、人々は食べ物を介してその農薬を摂取することになります。健康への悪影響を防ぐには、農薬ごとの毒性に応じて、食品を介した農薬の摂取量を一定以下にすることが必要です。そこで、厚生労働省では食品衛生法に基づき、すべての農薬、飼料添加物、動物医薬品に対して残留基準を決めています。厚生労働省のホームページから、残留農薬基準値が設定されるまでの概略をあげました(図)。

基準値設定までには、厚生労働省のみならず、農林水産省や消費者庁、食品安全委員会などさまざまな省庁がかかわっていることがわかります。これはリスク分析の考え方にもとづいているからです。

基準値設定までの概略https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/faq.html#h3_q1

どんな食品にもリスクはある

平成15年(2003年)に食品の安全性を確保する目的で食品安全基本法が制定されました。この法律では、どんな食品にもリスクがあるという前提でリスクを科学的に評価し、適切な管理をすべきという「リスク分析」の概念が導入されました。

食品のリスクとは、健康への悪影響が生じる確率やその程度を意味し、リスク分析は「リスク評価」「リスク管理」「リスクコミュニケーション」の3つの要素からなります。リスク評価は食べても安全かどうかを調べて決めることで、リスク管理は食べても安全なようにルールを決めて監視すること、そしてリスクコミュニケーションでは、消費者や関係する事業者などと情報や意見を交換します。このリスク評価は食品安全員会、リスク管理は厚生労働省や農林水産省、消費者庁が行うというように担当が分かれています。

残留基準の設定まで

食品安全委員会は、2003年に内閣府に設置された機関で、科学的な知見にもとづいて食品のリスク評価を行います。客観的かつ中立公正にリスクを評価するために、リスク管理をする厚生労働省や農林水産省から独立した組織になっているのです。

残留農薬の基準設定においても、厚生労働省からの要請を受けてまず食品安全員会が残留農薬のリスク評価を行い、人が摂取しても影響のない残留農薬量を設定します。厚生労働省はこの結果を踏まえ、薬事・食品衛生審議会での審議を経て、残留基準を設定します。

コーデックス委員会が定める国際基準のある農薬については国際基準も参照します。コーデックス委員会は、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)によって1963年に設置された国際的な政府機関で、国際食品規格の策定などを行っています。

筆者

佐藤成美(サイエンスライター)

 

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