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【米国生産者からの忠告】小麦の収穫前散布も「ジャップが食べる分だからいい」も作り話

世界の農業

「自国民は食べない」小麦を輸入する日本の末路/鈴木宣弘(東洋経済ONLINE/2021年8月27日公開)には、アメリカの農家は「日本への輸出用小麦だけに」ラウンドアップを収穫前散布(プレハーベスト)しているとの記載*がありますが、これは事実なのでしょうか。米国アイダホ州で小麦を含む穀物を栽培している村井誠一さんにアメリカ農業の実情についてコメントを頂きました。

*著者の鈴木宣弘氏および東洋経済ONLINEは読者からの事実誤認ではないかという指摘を認め、【2021年9月2日21時30分追記】で「初出時、小麦の輸出状況について不正確な部分がありましたので修正しました。」とした。記事のタイトルは「『リスクのある小麦』の輸入を続ける日本の末路」に、小見出しの「自国民が食べないもの」は「日本産にないリスクのある食べ物」などに変更されている。


「自国民は食べない」小麦を輸入する日本の末路に目を通しましたが、非常に悪意のある、偏った意見だと感じました。

小麦の収穫前散布はありえない

私は、アメリカのアイダホ州で39年間穀物を栽培していますが、ラウンドアップ(有効成分はグリホサート)を含めて除草剤を小麦に収穫前散布をするという話は聞いたことがありません。

私が農業をしている地域一帯では皆無です。乾燥地帯ですので、収穫前に水分含有率12.5%が自然に達成され、ラウンドアップを使う必要がありません。自然乾燥で、平均水分9%といったところです。そもそも小麦は、半乾燥地帯の作物ですから、ラウンドアップを散布してまで無理に乾燥させるというのは、まずありえません。(編集部註:小麦のプレハーベストの普及率は全米で2、3%程度)

バイヤーである日本に「ジャップだからいい」は作り話

本文中に、「これはジャップが食べる分だからいいのだ」とアメリカの穀物農家が言っていたとの証言が、アメリカへ研修に行った日本の農家の複数の方から得られているとの記述がありますが、「ジャップが食べる分だからいいのだ」という発言はあり得ません。日本の研修生に対して、アメリカの農家が日本人に「ジャップ」という蔑称を正面に向かって使うことが、まずありえませんし、そこまでアメリカの農家は、無知蒙昧ではありません。研修生からの又聞きを真に受けること自体も、軽率だと思います。

日本は、私たちがこの地で生産するSoft White Wheat(軟質小麦)の安定したバイヤーです。日本では、うどんなどに使われています。カステラには、Soft White Wheatの中でも特殊なClub Wheat(クラブ小麦) が使われています。日本は、大切なバイヤーですので、人一倍気を遣うことはあっても、「ジャップだから良いのだ」ということはなく、いかにも作り事です。

地域や作物の特性に合わせて開発された農業技術を偏見や政治利用でつぶさないで

日本への輸出はほぼ無いと思いますが、私たちの地域では、ひよこ豆にはラウンドアップを収穫前散布に使用しています。その理由は、ひよこ豆の生育は、土壌水分に左右され、収穫期になっても、緑色の状態がまだら状になってしまい収穫できないためです。乾燥させるために散布をしています。

このように、地域や作物の特性に合わせて安全性も考慮しながら、農業技術は開発されています。鈴木宣弘教授は、全くアメリカ農業の実情を知らず、又聞きで物事を考え、自分のスタンスに沿って話を進めて行っているように見えます。せっかく開発された農業技術が、偏見と政治利害によって貶められてしまうのは、非常に惜しいことです。

個人的経験からもラウンドアップは安全

私はアメリカでの小麦栽培で39年もの間、ラウンドアップを使用していて、つまりラウンドアップにさらされているわけです。消費者が仮にごく微量の残留農薬を口にしていたとしても、私がさらされている量の比ではありません。しかし私は、健康上の被害もありませんし、この近辺の農家も知る範囲ではありません。ですので、科学的にも、個人的経験からもラウンドアップは非常に安全な農薬だと考えています。

参考



筆者

村井 誠一(米国アイダホ州で穀物類を栽培する農業経営者)

 

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