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国会議員の髪の毛からラウンドアップ成分が検出された騒動とは何だったのか – グリホサートの真実とは2【完全版】(vol.10)

食と農のウワサ

生産現場のリアルな声を発信する日本有数の農業チャンネル「トゥリーアンドノーフ」を運営する徳本修一氏が、グリホサート問題の歴史的経緯から背後で蠢くビジネス人脈、科学的評価や対立の解決法まで、食の安全安心の権威・唐木英明氏に聞きまくった1時間。グリホサートの真実とは2【完全版】をAGRI FACT用に再構成してここにお届けする!(vol.10)

国会議員の髪の毛からラウンドアップ成分が検出された騒動とは何だったのか

徳本 農薬は体内に蓄積しないという解説でしたが、山田正彦元農水大臣ら一部の国会議員が髪の毛からグリホサートが検出されたと大騒ぎしていた記事がネットでも出回り、それを引用して批判する方もいます。

唐木 その山田正彦元農水大臣や社民党の福島瑞穂議員、立憲民主党の川田龍平議員らが2019年に参院議員会館で開いた会合に私も参加してました。あの場で発表されたのは、フランスの検査機関に国会議員の毛髪を託して体内の残留農薬を検査した結果、28名中21名の毛髪から13の成分の農薬が検出されたと発表し、「これは大変だ」「我々はラウンドアップまみれの食品を食べている。禁止しなければならない」とアピールしたのです。

ところが、これは専門的に見たら大間違いです。髪の毛から化学物質が検出されたとはどういうことか。体内に入った化学物質のほとんどは、尿の中に排出され、一部は汗や唾液で排出されます。さらに一部は髪の毛に入って排出されるのです。つまり毛髪は廃棄物の貯蔵庫と言うこともできます。過去の覚せい剤使用を調べる際、尿は排出期間が短いのであまり遡れないけれど、髪の毛を調べると過去の覚せい剤使用歴が判明したりするのです。髪の毛にはそれまでに摂った様々な化学物質が比較的長期に残る部分なので、髪の毛にあるということと、体内に蓄積されて残っているということはぜんぜん違うのです。体内には蓄積されていないが、廃棄物の貯蔵庫である髪の毛にグリホサートが残っていて、人体構造上は正常に体外に排出された証拠です。

それとこの話題で抜けているのが濃度の件です。髪の毛の量ってものすごい微量ですね。だから特別の装置を使って余程感度の高い検査をしないと検出されない。それだけの装置を備えているのはフランスの検査機関しかなかったのでしょう。それでフランスに送った。そして28人中21人からやっと検出できた。日本の検査機関で検査しても検出されないはずで、そのくらい微量だと思います。ということは体内にあっても何の問題もない量であると考えられます。先ほどから繰り返しお話しているように、それぞれの農産物には個別の残留農薬基準値があり、その基準値以下であれば、人体には影響しません。それほどの微量が髪の毛に残っていた。それだけの話です。実際はなんでもない事象を針小棒大に発表したと解釈してください。

グリホサートの真実とは<2> -「食の安全」の世界的権威に聞いてみた!〜完全版

 

【グリホサートの真実とは2】記事一覧

プロフィール

唐木英明(公益財団法人食の安全・安心財団理事長 東京大学名誉教授)
徳本修一(トゥリーアンドノーフ株式会社代表取締役)

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