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第10回 収集した農場データをいかに活用しているのか グリホサートの真実Part4【アメリカ産小麦は安全か】
グリホサートほど誤った情報が拡散され、風評被害を被っている農薬はない。対策の一環として全米小麦生産者協会では、アメリカの小麦生産におけるグリホサート使用に関する“事実”を2017年に「グリホサートの真実」という5回シリーズにまとめた。Part4はアメリカ農務省が収集したデータをいかに活用しているかの事実を提示する。
農業政策の基本データとして活用
アメリカ農務省(USDA)は、1862年にリンカーン大統領によって設立され、農業、農林業、食品に関する連邦政府の政策を策定し、実行する役割を担っている。とりわけ農家や牧場主のニーズを満たし、農業生産を促進し、食品の安全性を確保し、天然資源を保護し、米国内の飢餓をなくすことを目的とする。
天然資源を保護し、安全な食料供給を確保する義務の一環として、USDAは食料生産に使用されるすべての農薬の散布を監視している。そのため生産者から直接情報を収集しているが、生産者は秘密厳守を条件に参加している。したがって、このデータは実際の化学物質の使用状況を正確に写し出している。
健康、環境、安全、貿易、その他の重要な問題に関する意思決定において、公的機関や民間企業がこの正確でタイムリーなデータを利用することは、すべての農家にとって有益なものとなる。USDAはこのデータをもとに、国の食料供給の安全性の評価、リスクと利益の評価、農薬登録の決定、保全活動効果の定量化、商品の国際的な販売などを行う。
小麦については、2000年、2004年、2006年、2009年、2012年に調査が行われており、
科学的根拠のない誤情報
2017年にも予定され、グリホサートのような除草剤のデータも含まれる。
アメリカの小麦生産者によるグリホサートの使用に関する詳細な情報については、業界は独立系の消費者調査会社に頼っている。調査会社は毎年データを収集するために雇われており、小麦生産者のアグロノミック・プラクティスを詳細に調査している。
調査会社のデータによると、アメリカの小麦生産面積の約65%はグリホサートの散布を受けていない。グリホサートの散布量は年々増加しているが、グリホサートを散布されている小麦畑は全体の33%に過ぎない。
USDAのデータによっても、小麦生産者のグリホサート使用量は年々増加しており、耕起や他の除草剤に取って代わっていることが読み取れる。この間、アメリカの半乾燥地帯であるグレートプレーンズ地域の小麦生産者は、土壌の水分を節約し、侵食による土壌の損失を減らすために、不耕起の生産方法をより多く採用してきた。
1989年以降、グレートプレーンズの北部と中部の両方で、輪作を伴う不耕起栽培を行っている小麦の面積の割合は、全面積の5%未満から20%以上に増加している。このように生産者が不耕起栽培を採用し、耕起の代わりにグリホサートを使用するという点で、グリホサートの使用量の増加は説明される。小麦作物自体にはほとんど使用されず、小麦生産に使用される圃場に使用されているのだ。
しかし一部の団体は科学的根拠がないにもかかわらず、これらの情報を誤って解釈し、アメリカの小麦生産者は収穫直前にグリホサートを作物に「浴びせる」ことが一般的であり、その結果、小麦を原料とする製品に極めて高いグリホサートが残留していると主張している。
われわれ小麦生産者は、これは事実に反しており、それを裏付けるデータもあると主張している。小麦生産者はあくまで、安全で豊富、高品質な小麦を供給するために、利用可能な技術を使用することに集中している。
この記事は、全米小麦生産者協会のWebサイトに掲載された The Facts About Glyphosate, Part 4: Why does USDA collect farm data?をAGRI FACT編集部が翻訳・編集した。
最終回へ続く