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【動画】「農薬規制のベースとなる毒性学(トキシコロジー)への非科学的な攻撃」@24/11/22 AGRI FACT特別セミナー12

食と農のウワサ

2024年11月22日に開催されたAGRI FACT編集部主催の【特別セミナー】「グリホサート評価を巡るIARC(国連・国際がん研究機関)の不正問題 ~ジャンク研究と科学的誤報への対処法~」。ここでは当日のパネルディスカッションの模様を編集し、その要諦を公開していく。第12回は、「農薬規制のベースとなる毒性学(トキシコロジー)への非科学的な攻撃」についてです。

 

浅川 IARC(国際がん研究機関)の反撃としては、私が調べ得た限りだと、毒性学者のロバート・タロン博士が反論の記事を書いたら、IARCから「モンサントからお金を受け取っている」とか、EFSA(欧州食品安全機関)に対しても「欧州保健機関の評価すべてをグリホサートのメーカーが書いたものだ」とか。攻撃的ですよね? 科学や事実と関係ない攻撃的なコメントをしている。

唐木 一つ、トキシコロジー(毒性学)の世界ではですね、農薬についても化学物質についても「誰が評価をするのか?」という問題があります。例えば「農薬」の評価をするとしたら、たぶん何億円、何十億円じゃ効かない。何百億円のお金がかかるかもしれない。そんなお金を出して、一般の研究者が農薬の毒性を調べますかと言ったら、これは調べません。調べるのは全て農薬企業が、毒性を調べる。そして、そのデータを規制機関に提出をして、そこで審査をしてもらいます。

ですから、ある意味では、全部、これは利益相反だということになる。ですから、環境派の人はそこを攻撃してきます。しかし、それを農薬企業ではないところで、毒性を調べるということになると、それは税金で調べるということになるわけですね。

そうすると、税金で調べて、その収益は農薬会社に行くということを、国民が許すのかという問題にもなる。こういう大きな問題があって、これは「薬」もそうですけれども「薬」も「農薬」もトキシコロジーの研究というのは、常に利益相反という問題が絡んできます。

ですから、データを全て公開をして、そして誰でもがそのデータを見て本当にそれが正しいのか判断できる。こうやって利益相反のマイナスを消していくという努力を、我々毒性学者はしているというところですが、そこがなかなか分かりにくくて、企業がやった研究をなぜ信じられるんだというふうな批判の方が、耳に入りやすい。というところはあります。

で、私が言いたかったのは「農薬」あるいは「医薬品」もそうですけれども、トキシコロジーの研究結果というのは、特許に関係します。論文にして出してしまうと、特許は取れなくなります。特許になる前のその内部資料を規制機関に提出します。規制機関は、外部にそれを公表しないで、内部だけで審査をします。それがフェアではないというそういう批判もあります。しかしこれは、特許制度から言うと、ここは避けて通れないというか、そうせざるを得ない。そういう事情もある。

色々な仕方がない事情があって、攻撃の対象になりやすいという事実もあります。

 

第13回に続く

登壇者

唐木英明(食の信頼向上をめざす会代表、東京大学名誉教授)
浅川芳裕(農業ジャーナリスト、農業技術通信社顧問)

 

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