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第14回 米連邦議会がIARC疑惑を追及【IARCに食の安全を委ねてはいけない】

特集

フランスのリヨンに本部を置くIARC(国際がん研究機関)はWHO(世界保健機関)の下部組織であり、毎年数百万ドルもの米国の税金を拠出金として受け取っている。IARCへの不信感は保守系の共和党議員に広がり、米下院監視委員会のジェイソン・チャフェッツ委員長を含む国会議員のトップが、この資金提供に疑問を呈している。

腐敗の中心人物ポワティエ氏

IARC(国際がん研究機関)は、人への化学物質の発がん性分類(ハザードの同定)と、個々の化学物質のモノグラフ(専門書であり報告書)を作るために設立された。現在は化学物質の混合物やウイルスなど、あらゆるモノの発がん性を評価する組織へと変貌した。そのため毎年、IARCのワーキンググループはモノグラフを作成し、各薬剤のリスクレベルを分類している。IARCが評価した約1,000の化学物質のうち、発がん性がないと判断されたのは(*)1つしかない。

*AGRI FACT編集部註 IARCは2019年1月にモノグラフの前文を改定し、従来の「グループ4:ヒトに対して恐らく発がん性はない」を廃止した。これによりグループ4に分類されていた唯一の化学物質であるカプロラクタム(ナイロンの原料)は、「グループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)」に格上げされた。

そして2015年のモノグラフで除草剤ラウンドアップの有効成分グリホサートをグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に分類したことは、IARCの科学的誠実さに対する深刻な疑問を引き起こした。IARCは現在までグリホサートの発がん性を肯定している唯一の国際機関である。

グリホサートは広く使われている除草剤で、いくつかの遺伝子組み換え作物(GMO)に使われていることから、世界中の環境保護団体や反GMO団体から標的にされている。世界的な保健機関のお墨付きを得た反GMO活動家たちは、IARCのモノグラフをグリホサートが安全ではないことの証明として利用している。

IARCのモノグラフが広く知られるようになったのは、それから間もなくのことである。しかし、欧州食品安全機関(EFSA)の責任者でさえ、このモノグラフとIARCを「科学のFacebook時代の最初の兆候」と非難し、「科学的評価を行い、それをフェイスブックに載せて、何人がそれを『いいね!』したか数えるのだ」と書いているほどだ。IARCのグリホサート審査を推進した疑惑の人物クリストファー・ポワティエ氏は環境活動家で、しかも環境防衛基金でパートタイマーとして働いていた。彼はこれを利益相反とは見なさず、IARCに開示する必要性も感じなかったと発言している。

また、彼はグリホサートに発がん性があるとしたワーキンググループのアドバイザーも務めた。モノグラフが完成すると、ポワティエ氏は政府や活動家グループに対して、IARCの調査結果を宣伝するスピーチを行った。にもかかわらず、彼は「自分は活動家ではない」と言い続けた。この春、彼は私にメールでこう警告した。”自分や子供の健康を害するかもしれない。特に子供がその化合物にさらされた場合は”。

米連邦議会とトップ科学者が資金提供に疑義

米下院監視委員会のジェイソン・チャフェッツ委員長は現在、国立衛生研究所に対して、「米国の納税者がIARCに資金を提供し続ける理由」を説明するよう求め、さらにIARCが「アメリカの科学諮問委員会に与えられている厳しい科学的基準や政府の監視の目を逃れても、アメリカの政策決定に影響を与えようとしている」と非難している。

毒性学と腫瘍学の分野のトップ10人の専門家が2016年10月26日、IARCの手法は時代遅れで「不必要な健康不安と公的資金の不必要な流用を引き起こす」と書いた報告書を権威ある科学雑誌に発表した。

しかし、IARCは米国の税金を得ているにもかかわらず、米国の法律に拘束されるとは感じていない。IARCの職員は、グリホサート・モノグラフに関する文書を求めているEnergy and Environment Legal Institute (E&E Legal)からの情報公開法(FOIA)の要請を無視するようワーキンググループのメンバーに助言している。

IARCのワーキンググループのメンバーには、アメリカの公立大学の科学者や、FOIAを遵守する必要のあるEPA(米国環境保護庁)の職員が含まれている。なお、ミシシッピー州立大学教授はその後、FOIAの問い合わせを避けるために辞表を提出した。E&E Legalは「残念ながら、彼らの行動によって、この展開するドラマのすべてのプレーヤーは、公衆から公的記録を隠す権利を持っていると考えている」とIARCを非難した。

科学者たちは、発がん性評価のための最新の方法を開発するための国際的なイニシアチブを推奨している。

「IARCは活動家科学の代名詞となり、国際研究機関の評判を落とし、証拠に基づく科学的政策アドバイスに対する国民の信頼を損なった」と、ブリュッセルの教授でブロガーのデヴィッド・ザルク氏はIARCのハザード同定とモノグラフをめぐる一連の騒動と疑惑の数々を総括し、「私は米国のような国々が、この機関の混乱に責任を持ち、全面的な再編成を要求するか、資金提供を停止することを強く求めます」と提言している。

米連邦議会議員たちは、IARCから手を引くべき時かもしれない。

参照

*この記事は、ジュリー・ケリー著2016年11月4日公開 https://www.nationalreview.com/2016/11/cancer-agency-labels-glyphosate-carcinogenic-junk-science-conflicts-interest/ をAGRI FACT編集部が翻訳編集した。

〜第15回に続く〜

 

【長期特集 IARCに食の安全を委ねてはいけない】記事一覧

筆者

AGRIFACT編集部

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