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【動画】「ラウンドアップが悪役にされた理由」唐木英明氏(東京大学名誉教授)@24/11/22 AGRI FACT特別セミナー06
2024年11月22日に開催されたAGRI FACT編集部主催の【特別セミナー】「グリホサート評価を巡るIARC(国連・国際がん研究機関)の不正問題 ~ジャンク研究と科学的誤報への対処法~」。当日登壇した唐木英明氏(東京大学名誉教授・食の信頼向上をめざす会代表)の基調解説動画を編集し、その要諦を公開していく。第6回は、「ラウンドアップが悪役にされた理由」についてです。
唐木 ラウンドアップがなぜ悪役にされたのか、ここが一番大事なところなんですけれども、1974年にラウンドアップが発売されてから20年間はラウンドアップというのは、世界一安全な除草剤、非常に優秀な除草剤ということで、誰も何の問題もなく世界中で使われていたわけです。
ところが1996年に突然遺伝子組換え(GM)の反対運動に巻き込まれました。遺伝子組換えはご存知のように、害虫耐性と除草剤耐性がありますけれども、それからその両方を兼ね備えたものもありますけれども、遺伝子組換えの8割がラウンドアップ耐性なんですね。
で、遺伝子組換え反対運動が非常に盛んになったけれども、遺伝子組換えの安全性は非常に確立してしまって、今更遺伝子組換えが危険だと言って信じるのは多分、日本人ぐらいになってしまったわけです。
そうすると環境運動をやっている人は、次のターゲットをラウンドアップにしよう。ラウンドアップを禁止にしたら、遺伝子組換えの8割は使えなくなるわけです。
96年からラウンドアップの反対運動が起こって、セラリーニの論文がでたり、映画が作られたり、悪い評判が広がった。2015年になると第3段階になって、環境団体とアメリカの法律事務所とそれに関係する科学者が、国際がん研究機関・IARCに入り込んで、ラウンドアップをグループ2Aに評価した。そして、アメリカの法律事務所が大規模な訴訟を始めた。
こういった3段階のことが起こっている。
ということで、ラウンドアップはもともと何も悪くなかったのが、こういった環境問題、あるいはアメリカの法律事務所のビジネスのために、犠牲になったのが私は本当のところではないかというふうに思います。
科学は嘘をつかないけれども、科学者はいろんな理由で嘘をつく人たちがいます。これは非常に残念なことですけれども、そういう人たちが世の中に大きな誤解を流しているということです。
じゃあ、これにどうやって対応するのか?
いろんな方法がありますけれども、やはり一番大事なことは科学的な事実をきちんと多くの人に知らせるケランドさんがやっておられるような科学コミュニケーターの仕事が非常に大事だということです。
第7回に続く
登壇者唐木英明(食の信頼向上をめざす会代表、東京大学名誉教授) |