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第3回 小麦生産者団体がアメリカ産小麦健康悪影響説の元記事を検証【アメリカ産小麦は安全か】

食と農のウワサ

テキサス小麦生産者協会は、アメリカ産のプレハーベスト小麦健康悪影響説の火元である活動家サラ・ポープ氏の2014年の投稿記事「小麦が有害な本当の理由(グルテンが原因ではない)」をいち早く検証し、数多くの間違いを指摘している。

事実に反する情報

活動家サラ・ポープ氏の投稿記事が話題を呼んでいる。アメリカ産のプレハーベスト小麦について書いたこの記事は、除草剤ラウンドアップ(有効成分グリホサート)が収穫の数日前に小麦に散布されるのが一般的であるとし、残留するグリホサートが最近急増しているセリアック病に関係しているという。そのうえでアメリカ産小麦は今や「有毒である」と主張する。
生産者のわれわれはポープ氏の主張を検証した。

主張vs.事実

主張1:収穫の数日前には、一般的に小麦に対して除草剤ラウンドアップが浴びせかけられている

事実

アメリカの小麦生産者がラウンドアップやその他のグリホサート製剤を収穫前に使用することは日常的ではない。小麦地帯のほとんどの州は乾燥した気候なので、ラウンドアップのような穀粒の水分量を減らして乾燥を促す製剤を使用して作物の成熟を助ける必要がないからである。

ラウンドアップは収穫前に散布する使用法が認可されているが、除草剤を小麦畑に散布する場合、人体に影響しないレベルの微量しか残留しないよう分解して消滅する期間を計算して、標準で収穫7日前から14日前の散布に限定されている。ラウンドアップの有効成分であるグリホサートは、多年生雑草の防除に使用され、ごく一部の生産者は、収穫に向けて小麦畑を均一に熟成させるための乾燥剤としても使用している。

事実

ラウンドアップやその有効成分であるグリホサートを植物に「浴びせかける」ことはない。定められた容量用法を守り、比較的少量のグリホサートを雑草の発生状況に合わせて散布する。このように考えてみてください。

収穫前に散布できるのは、1エーカー(約4,000㎡)あたり22オンス=約650mlを3~20ガロン=約11.5~75lの水(用途による)と混ぜたものだけ。1エーカーは、エンドゾーンを除くサッカー場と同じ大きさだ。

もし農家がラウンドアップを散布すると決めて、22オンスを10ガロンの水と混ぜて1エーカーに散布したとすると、ゲータレードボトル1本分(600ml)のラウンドアップを10ガロン=38ℓの水と混ぜて、サッカー場全体の大きさに均等に散布したことになる。この10ガロンの水をオンスに換算すると1,280オンスとなり、ラウンドアップの濃度は0.017または1.7%(1,280オンスの水に22オンスのラウンドアップ)にしかならない

カンザスウィート社の「小麦に含まれる除草剤の真実」に記載されているように、カンザス州立大学の雑草生態学教授であるアニータ・ディル博士は次のように述べている。

「除草剤の目的は雑草の駆除です。雑草駆除の目的で使用するタイミングはいくつかあり、小麦の栽培工程を考えると、植え付けの直前、作物中に雑草がある場合は植え付けの直後であったりすることが多い」

つまり、除草剤の使用の大部分は植え付け前か植え付け直後に行われ、収穫前に除草剤を使用したとしても、実際に散布される量はごくわずかなのである。

主張2:グリホサートの散布は規制されていない

事実

グリホサートは規制されており、人の健康に影響を与えることはない。グリホサートはアメリカ環境保護庁(EPA)が制定したFIFRA(Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Act)によって規制されている。そして前述の通り、除草剤は1エーカーあたり22オンスを超えて散布することはできない。

また、農家は定期的に地元の種苗会社や州のエクステンションオフィスに相談し、栽培シーズン中のオペレーションを成功させるために特定の農法が必要かどうかを確認する。利用可能な方法が必ずしも実用的でない場合も少なくない。

この記事は、テキサス小麦生産者協会の「グリホサート散布された小麦。主張と事実Glyphosate-treated Wheat: Claims vs. Facts」2014年11月21日公開 をAGRI FACTが翻訳・編集した。

第4回へ続く

【アメリカ産小麦は安全か】記事一覧

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