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1. 科学的な文章の読み方【科学的な情報の読み方と伝え方】
科学では、事実を正しく伝えることがとても重要です。そのため、科学的な文章では、内容を誤りなく伝えるためのルールや方法があります。ここでは、その基本やデータの見方を紹介します。
1. 科学的な文章の読み方
論文や報告書など科学的な文章の表現の基本を知っておくと、内容の理解に役立ちます。
(1)科学的な文章とは、事実と意見を述べたもの
科学的な文章は、得られた事実や理論とこれらについての意見を述べたものです。この文章の特徴は、内容が事実と意見に限られていて、心情的要素を含まないということです。
科学的文章の条件に、
①事実を正確に書くこと
②事実と意見を区別して書くこと
③自分の成果と他人の成果を区別して書くこと
があります。事実は客観的に認められるもの、意見は事実に基づく個人の見解で、個人の意見には、推論や判断や仮説などがあります。事実を正確に伝えるためには、範囲を限定したり、種々の条件をつけたりします。事実と意見を区別するために、意見は、語尾に「〜と考える」、「〜と推察する」のように書くのが基本です。また、事実や意見を裏付けるため、他人の成果を引用することも多いのですが、そのときには必ずその出所を明示します。
(2)専門用語の扱い
科学では、多くの専門用語が出てきます。その用語を取り扱うときの注意点を以下にあげます。
①専門用語では、略語が頻繁に使われます。特に、医学用語に多いのですが、一般には通じません。
例)論文中の「GCA」はグルコキナーゼ(酵素の名前)の略。 BSAは「ウシ血清アルブミン」。
②化学物質の名前には、国際的に定められた(IUPACの命名法)名前およびその日本語訳に加え、慣用名や一般名(商品名)も使います。聞き慣れた名前でも、使われないものもあります。
例)ナトリウム化合物をソーダと呼ぶが、使うのはカセイソー ダ(水酸化ナトリウム)と炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)のみ。グルタミン酸ソーダ(グルタミン酸ナトリウム)は使わない。
③同じ専門用語でも、分野によって定義が多少異なることがあります。また、新しい用語では、定義が定まっていないものもあります。
例)「抗菌」という用語は、学術的に定義されておらず、業界ごとに基準を定めている。
※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ」にある「科学的な情報の読み方と伝え方」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。
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