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学校給食を有機に!というトンデモ(続編):12杯目【渕上桂樹の“農家BAR Naya”カウンタートーク】

コラム・マンガ

前回のコラムでは、「長崎県の学校給食を有機に!」という一見良さげながら非科学的な根拠で不安を煽るトンデモ署名と、それを阻止した(かもしれない)お話をしました。今回は、そのつづきと、他の地域での似た活動、そしてその背後に潜む影について述べます。

長崎県でのその後

「長崎県の学校給食を有機に!」の署名ですが、県庁に確認したところ、議会は受け取らず、代わりに教育委員会に提出されたと聞きました。
地元新聞の報道によると、その内容も「より良質な給食を」という要望に修正されたようです。
当初のもの(日本は農薬使用量世界一! 発達障がいになるぞ! 癌になるぞ!)よりもずいぶんマイルドになってとりあえず一安心。
しかしこの市民団体、「香害に理解を!」という署名も併せて提出したらしく、有機農業もこんな調子で活動家のネタとして消費されていただけなのかなあと虚しさに似た感情を覚えました。

世田谷と名古屋でも不安を絡めた活動

実はこの手の話、長崎に限ったことではありません。
「学校給食を有機に!」という運動は全国で展開されているんです。
これほどのブームには当然仕掛け人がいて、7月のコラムでも触れたとおり、著名な活動家らがSNSや講演会で働きかけています。
内容はもちろんというべきか、どれもいたずらに不安を煽るトンデモばかりです。

まずは東京都世田谷区の例を見てみましょう。
これはオンライン署名サイト「Change.org」に提出されたものです。
中身を見てみると……「日本はトップクラスの農薬使用国であることをご存知ですか?」って、おい! 最初からトンデモで始まっているじゃないですかー。
さらに、「日本で定められている残留農薬基準値は、EU諸国をはじめ世界の基準より大幅に緩く設定~」って、もう終始こんな始末。
もはや正しい部分がないくらいです

次は名古屋市の例です。
新聞によると、市民団体が河村たかし市長に「オーガニック給食の全面的な導入」を要望したとのこと。
その記事によれば、市では10月から「オーガニックバナナ」の提供が決まっているそうです。
バナナがオーガニックになったからといってどんな意味があるんだろう?という疑問はさておき、どんな人たちがやっているんだろう?という疑問が湧いたので調べてみました。

すると、この市民団体、反ワクチンで有名な医師が作る団体と深い関わりがあることが判明。
活動の中心的人物は新型コロナウイルスワクチンの接種中止を呼びかける運動もしていることがわかりました。
おまけにノーマスクイベントもやっている模様(SNSに堂々と投稿)。
完全に反医療活動家ですね。
ここまで来るともう農薬デマなんてかすんで見えるレベルです。

給食有機運動の背後に潜む活動家の存在……

実はこうして全国の運動を調べていると、給食有機運動と反ワクチン思想はよく結びついている、というか反ワクチン団体が給食有機運動を始めているケースが多いんです。
上述した世田谷区の例も「それでもあなたはワクチンを打ちますか?」みたいな活動家や団体とコラボしているのがわかりました。
普通に生活していればなかなか会わない人たちですが、給食有機運動って反ワクチン・反医療団体の実績作りの場みたいになっていませんかね?
こうなると逆に有機農業にうさん臭いイメージが付きそうで心配です。
とはいえ、自治体の担当者さんや議員さんは忙しいので、「ママたちの声」とか「子供たちの食の安全」みたいなきれいなスローガンを無防備に受け入れてしまうケースは多いのかもしれません。

もちろん、ここ長崎の運動も例外ではありません。
調べてみたところ、「長崎県の学校給食を有機に!」運動の中心的人物は反ワクチンやノーマスク、マルチ商法などみなさんそっち系。
「市販の化粧品はこんなにも危険! でもこの化粧品(マルチ)なら安心!」とか「ワクチンや薬はこんなにも危険!」みたいな手法でビジネスを展開する人なので、食の不安を煽る運動とは相性が良かったんでしょうね。
危うく県議会がお墨付きを与えるところでした。
幸い長崎には暇人(トンデモハンターの私)がいるので大丈夫でしたが、他の地域はどうなんでしょう?
一見良さそうな活動でも、署名する前にちょっと調べてみた方が良いと思いますよ。

前編

筆者

渕上桂樹(ふちかみけいじゅ)(農家BAR NaYa/ナヤラジオ)

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