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第5回 食品安全委員会はどうやって残留農薬のリスク評価をするのか【農薬について知ろう】

コラム・マンガ

農薬の安全性が気になる人の不安を解消すべく、残留農薬を中心に、農薬の使用目的や安全性、検出法などについて、サイエンスライターの佐藤成美がシリーズで解説していくこの連載。第5回は、残留農薬のリスクの評価方法を取り上げます。

毒性と曝露で決める

私たちは毎日様々なものを食べており、食品を介して微量な農薬を摂取している可能性があります。そこで、残留農薬のリスクを管理することが必要です。リスク(健康への悪影響)は、農薬の毒性と食品を通じた摂取量(曝露量)で決まります。

毒性の評価は、動物を用いた急性毒性試験、慢性毒性試験、発がん性試験、変異原性試験などの毒性試験の結果をもとに行います。つまり毒性の特徴などを把握するということです。そして、農薬をどれくらい摂取するか、すなわち曝露は、一生涯に渡る摂取を想定した「長期曝露」と一時的に大量に摂取する「短期曝露」の二通りに分けられます。慢性曝露におけるリスクはADI(Acceptable Daily Intake:一日許容摂取量)、短期曝露のリスクはARfD(Acute Reference Dose:急性参照用量)で評価します。

参照

ADIとは?

ADIとは、人がある物質を一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量の上限のことです。農薬の場合、体重1㎏あたり、1日当たりの薬量がmgで示されます。たとえば、グリホサートのADIは、1mg/kg/日で、これは、体重1㎏あたり毎日1mgまでなら一生摂取し続けても大丈夫であろうということです。

ADIを求めるためには、まず動物を用いた毒性試験をもとに、動物において何ら毒性影響の出ない最大の摂取量(無毒性量、NOAEL)を定めます。NOAELに安全係数1/100をかけてADIを算出します。安全係数は、人と動物の種差による相違1/10と個人差による影響1/10をかけあわせたものです。

参照

ARfDとは

ARfDは、人がある物質を短時間(24時間以内)に摂取しても、健康への悪影響がないと推定される摂取量のことです。これも動物試験から求めたNOAELに安全係数をかけて算出し、体重1㎏あたり、1日当たりの薬量がmgで示されます。ただし、この場合NOAELは、繰り返しではなく、単回農薬を投与した時の動物実験の結果が使われます。

農薬のリスク評価においては、これまでは長期曝露評価を用いてきましたが、平成26年(2014年)から多食後24時間以内の短期曝露評価も導入されるようになりました。そこで、食品安全委員会はADIに加えて短期曝露評価に必要なARfDの設定を進めています。ARfDが未設定だった農薬も、残留農薬基準が見直しされており、使用方法などが変更されることがあります。

筆者

佐藤成美(サイエンスライター)

 

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