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農業に関するデマで打線組んでみた!〈パート43〉【ナス農家の直言】

農家の声

少しずつ暖かさが増し、春の訪れが近づいてきました。気温が上がると人は活動的になります。となるとデマも……。
そこで今回も、
「農業に関するデマで打線組んでみた!〈パート43〉」をテーマに、
SNSに溢れる農業デマを、私が分かりやすく紹介していきます!

1.(中)水田の畔には、グリホサートがよく撒かれる!

某教授の投稿内容ですが、全てが間違いというわけではありません。
たしかにラウンドアップを水田周辺で使用する方法は適用です。

田植えをしてからも、畔(あぜ)の雑草にラウンドアップを使用するケースはあるようです。
とはいえ根ごと枯らすタイプのグリホサートを脆い畔に使用すると、隣の田んぼの水が流れ出てしまうというリスクもあります。

ラウンドアップが田んぼに適用があるからといって、全ての農家が使うかどうかは別です。

2.(二)ラウンドアップの工場派遣で病気になった!

「後輩がラウンドアップの工場に派遣されて、肺をやられた!」
というデマを見つけました。

国内にラウンドアップ製品の工場はありません。
日産化学が2002年に、日本における独占的販売権をモンサント社より取得し、海外の工場で生産した製品を輸入して販売しているのです。
調べたらすぐにわかるデマを投稿するのは恥ずかしいと思います。

3.(右)ワクチンにはグリホサートが混ぜられている!

有名な作家の方が、グリホサートに関する陰謀論を展開しています。
おそらく「日本人を○すために仕組まれた!」と言いたいのでしょうが、証拠は一切ありません。
農薬のグリホサートよりも、人間にダメージを与えて気づかれにくい成分はいくらでもあるはずなのに……。
根拠としている動画も、反グリホサート活動家の主張のみで、信憑性がありません。
話を聞くだけムダなので、SNSの投稿にも反応しないのが賢明でしょう。

4.(三)グリホサート論文、撤回! グリホサート安全神話は崩れた!

「多くの論文に引用されてきたグリホサート安全性研究の論文が撤回された!」
「モンサント社員によるゴーストライターが執筆したもので、安全性も根底から揺らぐ!」
SNSの農業界隈で話題になった出来事ですが、ここからは日産化学公式の発表を引用させていただきます。

まず、問題となっているのは特定の1つの論文が、企業の不適切な関与(ゴーストライティング等)という倫理的な問題への懸念により撤回されたという事例です。
これは、グリホサートの安全性に関する全ての科学的根拠が嘘だった、という意味ではありません。

さらに重要なのは、世界各国の規制当局は、この1論文だけに依存して安全性を判断していないという点です。
日本を含む各国の当局は、数千件規模の研究・データに基づいて総合的にリスク評価を行い、グリホサートの安全性を承認しています。

今回撤回された論文は、その膨大なデータの中のごく一部に過ぎず、全体の評価結果を覆すものではありません。
したがって、今回の論文撤回によって科学的コンセンサスが変わったわけではなく、グリホサートの安全性が否定された事実もありません。
とのことです。

グリホサートを過剰に恐れすぎだと私は考えます。

参考

5.(左)スズメがいなくなったのはネオニコが原因だ!

環境省と日本自然保護協会が行っている、生物多様性に関する基礎的なデータを集める「モニタリングサイト1000」という調査があります。
この調査によると、スズメが2008年~2022年で約40%減少したとされています。

「スズメが絶滅危惧レベルで減少したのは、ネオニコチノイド系農薬によって、エサとなる虫が徹底的に殺されているからだ!」
という投稿がありましたが、ネオニコチノイドだけのせいではないと思います。
環境変化や都市開発など、思いつくだけでも要因は複数挙がります。

そして日本自然保護協会の見解として、
「里地里山の管理が行われなくなると、農地や草地が森林化し、そこに生息する鳥など生き物が減っていく。」
という可能性もあるようです。

なるほどたしかに、田舎の人口減少によって、スズメなどの生態系や生物多様性にも影響があるんですね。
生態系や生物多様性は、農家だけではなく、都市部の方を含めた全ての人間の課題のはずです。
農業や農薬だけのせいにしないでください。

6.(一)あきたこまちRはネオニコに強い品種だ!

2025(令和7)年度から、あきたこまちはあきたこまちRに置き換わりました。
私もこのコラムで過去に2度、あきたこまちRのデマを紹介しましたが…、
依然として、あきたこまちRに対するデマは溢れています。
「あきたこまちRはネオニコ系農薬に強い品種! だから農家はネオニコを多く使っている!」
という投稿も、デマの一つです。

「ネオニコチノイドに強い品種」というのが、何が強いのかは分かりません。
しかし秋田県の公式サイトでも発表している通り、あきたこまちRはカドミウムを吸収しにくい以外は、あきたこまちとほぼ同様の性質を持ちます。
ADI(一日摂取許容量)を超えるネオニコチノイド成分の残留農薬が検出されたあきたこまちRがスーパーに並んでいるんですか?
そんな事例は一つも出ていないので、これからも安心してあきたこまちを食べてください。

7.(遊)電子レンジで沸騰させた水は植物を枯らす!

「マイクロ波を浴びた水は植物に悪影響だ!」
という、ネタとも思われる投稿を見ました。

いやいや、そもそも熱湯をかけたら、ほとんどの植物は枯れますよ!
植物には、吸い上げやすい適切な水温があるのです。
ちなみに農家は、水温が上がる夏には、苗の昼の水やり(灌水)を控えます。
電子レンジのお湯と同じで、ポットの中で熱されて、根っこが煮えてしまいますからね。

8.(捕)天然トマトと非天然トマト

過去にも紹介したトマトの品種の違いですが、いまだに画像のようなデマが絶えません。

「トマトは南米を原産地とし、現在栽培されているトマトは全て、人為的に品種改良を積み重ねたものです! 安全な原種のトマトを食べよう!」
という投稿は、前半部分は正しいのですが、最後の「安全な原種のトマトを食べよう!」が致命的に間違っています。

原種のトマトやスイカは、とても人間が食べられるようなものではありません。
今スーパーや直売されているトマトは、原種ではないですが安全ですので、ぜひ安心して食べてください!

9.(投)ビニールマルチを使うと、病気になりやすい。

「ビニールマルチを使った栽培は高温や蒸れで、作物が病気になりやすい。」
という投稿がありました。
たしかに使うマルチの種類によっては、高温や蒸れで病気が発生することもあるでしょう。
しかしマルチにも、様々な種類があり、用途によって農家は使い分けています。

例えば、

    1. 白マルチ:日光も反射して、温度を下げる
    2. 黒マルチ:日光を遮断して、雑草を防ぐ
    3. 透明マルチ:日光を通して、地温を上げる
    4. グリーンマルチ:日光を通して、地温を上げて、雑草を防ぐ

などの特徴があります。

ちなみにサツマイモは、病気の発生原因になる「泥はね」の予防で、マルチを使う栽培が多いようです。
ただ作物や地域によって、マルチを使うかどうかの考え方は違うので、それぞれの農業に合った栽培をすればいいと思います。
なお、今回のトップ画像は白マルチ用ビニールです。

まとめ

SNSでは投稿内容の真偽が分からないため、いいねの数やそれっぽく解説された動画を、真に受けてしまう方もいると思います。
不安を煽るような投稿を見かけたら、一度立ち止まって、多角的に情報を集めてください。

 

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筆者

ナス男(ナス農家&サイト「農家の決断」管理人)

 

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