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東京都品川区のオーガニック給食化方針に賛否分かれる

ニュース

東京都品川区は、2025年10月から区立小中学校の給食で使用する全ての野菜を有機農産物(オーガニック)や特別栽培品に切り替える方針を発表した。この方針をめぐって、賛否が巻き起こっている。

2025年度の予算には約2,827万円が計上

東京都品川区は、2025年10月から区立小中学校の給食で使用する全ての野菜を有機農産物(オーガニック)や特別栽培品に切り替える方針を発表。この政策により、1食あたりの食材費は約12円増加し、2025年度の予算には約2,827万円が計上された。品川区は2023年4月から給食費を無償化しており、今回のオーガニック化による保護者の追加負担はないとしている。

子どもたちにより良い食材を提供する取り組みとして、少しでも体に良い野菜を子どもに与えたいと考える人も多く、今回の政策を歓迎する意見もある。

一方、一部の専門家や関係者からは、有機野菜の安定供給の難しさや、調達コストの増加、調理現場での負担増加などの懸念が指摘されている。また、有機野菜が必ずしも慣行栽培の野菜より「おいしい」という科学的根拠がないとの指摘もある。

反対や懸念の声が続々

「子育てにもリテラシーを!」を掲げるコソリテは、品川区に対して異議を唱え、「品川区学校給食全野菜オーガニック生産物使用の再考を求める署名活動」を行っている(2025 年3月12 まで)。

また、浅川芳裕氏(農業ジャーナリスト、農業技術通信社顧問)は、品川区のオーガニック野菜給食政策に対して、Xで次のようにコメントしている。

品川区の“おいしい”オーガニック野菜給食政策(予算2800万円)へのコメントを求められたので一言:

有機野菜が慣行野菜より、「おいしい」という科学的エビデンスは存在しない。「安全性」や「栄養価」についても同様だ。

加えて、秀品率が低く、欠品率が高いため、食材調達や給食の調理現場に大きな負担と混乱をもたらす。

低い商品価値に対して、高額な公共調達費をかけるのは税金のムダ遣い以外の何もでもない。

慣行野菜であれば適正予算で、子供たちの栄養バランス向上のため、もっと多くの量・種類の野菜を安定的に提供できる。

有機野菜が高い理由は単純だ。同じ面積で、少ない収穫量しか採れないからだ。限られた農地や労働力当たりの生産効率が低く、その振興は食料不足とさらなる価格高騰の要因にもなる。

子供の教育面でも、オーガニック給食振興策の悪影響は大きい。

高額な公的予算投入を正当化するため、現場では科学的な根拠なく「有機野菜の方がベター」という洗脳教育を施さざるをえなくなる。

その先には、「有機農家が善」「慣行農家は悪」といった日本社会に分裂をもたらす差別思想が子供たちに植え付けられる懸念もある。子供の知育に逆行するだけでなく、偏向した若き活動家の育成に血税が投入されていくわけだ。

以上、給食のオーガニック化が孕む問題の解決策は一つ。品川区長がこの政策を即刻撤回するだけだ。しかも、タダでできる。

現在、品川区以外でもオーガニック給食の導入を議論する自治体が少しずつ増えている。しかし、疑問点は尽きない。冷静な判断が問われる。

 

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AGRI FACT編集部

 

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