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メディアに取り上げられる芸能人の農体験、政治家に話を聞いてもらえる活動家、蚊帳の外の普通の農家:55杯目【渕上桂樹の“農家BAR Naya”カウンタートーク】

コラム・マンガ

メディアにはよく一風変わった農園や農法が取り上げられることがあります。
芸能人がスピリチュアルな農業を始めたことや、なんだか画期的な雰囲気を纏う農法などです。
また、政治家や市長には活動家グループが「オーガニック給食運動」で話を聞いてもらい、ニュースにまでなることがあります。
それは別に良いと思うのですが、珍しい例ばかりがメディアで取り上げられたり、政治家が現場感とかけ離れたグループの話ばかりを聞いていると、いつの間にかおかしな認識が広まってしまうことがあるのです。

有名タレントによるスピリチュアル志向高めの農業

つい最近、有名タレントさんがスピリチュアル志向の高い農業を始めたことがニュースになりました。
「毎月通うことにしました」というその農園を調べてみると、「小麦・牛乳は危険」「添加物は危険」「農薬は危険」から始まり、「薬やワクチンを避けよう」という、思想強めな様子。
普通の農園はそんな思想を織り交ぜないので、きわめて珍しい部類ではあるのですが、メディアにはよくこういう珍しい農園が取り上げられます。
そのタレントさんは「食料自給率の低さや、農薬問題を考えて」農業を始める決意を表明したらしく、それはまあ自由だと思いますし、良いと思うのですが、メディアは農業を取り上げるときに珍しいケースを取り上げすぎではないかと思うのです。

タレントさんは一風変わった農園・農法に傾倒しがちで、「今の日本の農業は」と大きなテーマを語ることがありますが、実際の現場感とかけ離れた話ばかりがメディアで取り上げられるので、ニュースを見た人の感想を聞くとおかしな認識になっていることがあるのです。
日本の農業や食を支えているのは、画期的な農法を思い付く珍しい農家ではなくて、地道に積み上げられた知見に基づき生産する、言ってみれば普通の農家なのですが、メディアが普通の農家を取材するときは「今年も収穫を迎えました」とにっこりした画を撮るくらいに留まります。
農薬の話や農法の話を聞きたいなら、タレントさんの一風変わった話ではなくて普通の農家に聞いたら良いと思うのです。

ちなみに、タレントさんの中にも現場感のあるリアルな農業を発信している人もいて、現場の人も「うん、わかる」と思って見ているものもあります。
そういう人は「画期的なナントカ農法」「日本の農業は問題が」みたいなことは言わない印象です。

オーガニック給食運動にも肩入れ

また、最近は「オーガニック給食運動」が話題になりましたが、たいていの場合、熱心に政治家や市長に働きかけて「オーガニック給食の要望を伝えました」と表明したり、ニュースで取り上げられているのは有機農家でも有機野菜の業者でもなくて、普段は「子供にワクチンを接種させない」「学校でマスクを外そう」と活動しているグループです。
つい最近は、大物政治家のYouTubeチャンネルに出演し、「今の給食の野菜は不安です」などと話したことで話題になりました。

オーガニックの話を聞くなら有機農家が良いと思いますし、今の給食を変えたいという話を聞くなら、今の給食を支えている普通の農家や給食関係者の話を聞いた方が良いと思います。
ただ、政治家はいろいろな人の話を聞くのが仕事なので、反医療活動団体の話を聞くのも、それはそれで良いとは思います。

せっかくの機会なのだから「オーガニック給食運動」の情報発信をしている私もYouTubeチャンネルでコラボしたらより良いのでは? と思ってLINEを送ってみました。
しかしながら、未だお返事はなく、出演には至っていません。
YouTubeチャンネルに出演したグループは「普通のママたちのグループ」という建前(実際は大規模で熱心な反医療活動を展開していてなかなか凄いグループだとは思う)なので、私も出演できるのでは? と思ったのですが、自分の力の無さを実感しました。
もちろん、私もいきなり出演を持ち掛けたわけではありません。
以前直接会って「オーガニック給食運動」について話したときに「今度一緒に動画を撮って情報発信しよう」と話してはいたのです。
また、「オーガニック給食運動」の団体が実際は反医療活動のグループであるという共通の認識も確認していました。
コラボだって実現できるはずです。
私はできるだけ早く実現したいと思っています。

メディアや政治家はリテラシーを

メディアがタレントさんのスピリチュアルな農業を取り上げるのも、再現性のない何だか画期的なナントカ農法を取り上げるのも、政治家が活動家グループからオーガニックの話を聞くのも、それはそれで良いと思います。
ですが、現場の話は誰にも届かず、関係ない人たちが的外れな話で盛り上がり、流れが決まっていく。
そして、本当に農業を支えている人がほんのりワルモノにされる。
そんなのはおかしいと思います。
スピリチュアルな農業に傾倒するタレントさんも変な反医療な思想のグループもそれぞれの自由ではあると思いますが、せめてメディアの人や政治家さんはリテラシーをしっかり持っていてほしいと思います。

 

【渕上桂樹の“農家BAR Naya”カウンタートーク】記事一覧

筆者

渕上桂樹(ふちかみけいじゅ)(農家BAR NaYa/ナヤラジオ)

 

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