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第9回 米小麦農家はいかに農場データを収集しているのか グリホサートの真実Part3【アメリカ産小麦は安全か】
グリホサートほど誤った情報が拡散され、風評被害を被っている農薬はない。対策の一環として全米小麦生産者協会では、アメリカの小麦生産におけるグリホサート使用に関する“事実”を2017年に「グリホサートの真実」という5回シリーズにまとめた。Part3はグリホサートの安全性確保に必要な農場データ収集の事実を紹介する。
官と民によるデータ収集
アメリカは世界で最も安全で豊富な食料供給を行っている国であり、世界の人々に影響を与える安全基準の設定とその管理は他の国々から信頼されている。小麦生産者は、世界中の家族にとって安全であるように、すべての作物を大切に育てている。
除草剤ラウンドアップ(有効成分グリホサート)は、生産者があらゆる作物の雑草を管理し、その年に可能な限り最高品質の製品を生産するためのツールの一つ。アメリカの小麦生産者も例外ではない。小麦生産者は、必須の農薬トレーニングを受けてライセンスを取得した後、アメリカ環境保護庁(EPA)が承認したラベルの指示に従ってあらゆる種類の農薬を散布している。ラベルは製品が正しく使用され、効果的な性能を発揮し、取り扱う人や消費者、環境にとって安全であることを保証するものだ。
アメリカ農務省(USDA)では、グリホサートのような除草剤の使用を含む多くの農法について農家を調査している。NASS農業化学物質使用プログラムは、農場における化学物質の使用や害虫駆除方法に関するUSDAの公式な統計資料である。農薬の使用傾向を調べることが彼らの目的であり、情報に基づいた科学的な判断を下すために不可欠なデータとなる。このNASS(アメリカ農務省国家農業統計局)の調査は、すべての農薬について毎年行われているわけではなく、持ち回りで行われる。
USDAの調査は農薬使用の傾向に焦点を当て、特定の作物を生産するためにどの農薬がどれだけ使われているかを把握するためのものだ。このNASSが収集した小麦のデータと他の農薬使用調査データの主な違いは、散布のタイミングが含まれていること。例えば、独立系の消費者調査会社GfK社は、毎年、散布時期を含むデータを収集しており、この情報は作物への散布と、作物の作付け前や収穫後に行われた散布とを区別するために使用される。
散布のタイミングは違えど安全性は変わらない
グリホサートを小麦が収穫されていない時期に散布することで、休耕期間中の雑草を駆除し、半乾燥地域の小麦生産において貴重な水分が雑草に奪われるのを防ぎ、次の作付け作物に病気が蔓延するのを防ぐことを目的としている。
一方、小麦に使用する場合、グリホサートの使用は収穫前の散布(プレハーベスト)に限定される。プレハーベストの承認された安全で合法的な使用状況は17年間あまり変わっておらず、総生産面積の1~3%の間で推移している。
プレハーベスト小麦の安全性については、研究者が異なる散布率および異なる時期にグリホサートを収穫前に散布した収穫小麦粒のグリホサート残留レベルを調査した研究によると、いずれの散布率または散布時期においても、グリホサートの残留レベルがEPA承認の残留基準値を超えたことを示す兆候は見られなかった。こうした調査結果は、グリホサートのプレハーベスト使用が法的に認められているEUで収集された穀物中のグリホサート残留物に関するデータによっても裏付けられている。
総合的にみて、アメリカの小麦生産において、グリホサートのプレハーベスト散布は一般的ではないこと。現在の散布タイミングで収穫した小麦を含む穀物に基準値以上のグリホサートが残留する可能性はないことがわかる。
この記事は、全米小麦生産者協会のWebサイトに掲載されたThe Facts About Glyphosate, Part 3: How does USDA collect farm data?
をAGRI FACT編集部が翻訳・編集した。