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日本の食を守るために何をすべきか – グリホサートの真実とは2【完全版】(最終回)

食と農のウワサ

生産現場のリアルな声を発信する日本有数の農業チャンネル「トゥリーアンドノーフ」を運営する徳本修一氏が、グリホサート問題の歴史的経緯から背後で蠢くビジネス人脈、科学的評価や対立の解決法まで、食の安全安心の権威・唐木英明氏に聞きまくった1時間。グリホサートの真実とは【完全版】をAGRI FACT用に再構成してここにお届けする!(最終回)

日本の食を守るために何をすべきか

唐木 ここに絡んでくるのがメディアとSNSなんですね。SNSってものすごくお金が儲かるんです。新型コロナウィルスのワクチンでいうと、米国ではワクチン接種率が6割以上になかなか増えない。4割くらいの人はワクチンを嫌っています。これは米国だけでなく、英国でもワクチン先進国のイスラエルでもそうなんですけど、世界的に3割から4割の人はワクチンを打とうとしないのです。ほとんどがフェイクニュースの影響です。

米国でワクチンのフェイクニュースを流しているインフルエンサーが12人いるそうで、この12人の影響を受けて3割の人がワクチンを打たなくなっています。12人は、ある調査によると少なくとも40億円の収益を上げていると言われています。その中には3億2000万円稼いだと言われるケネディ元大統領の甥のケネディJrもいます。彼は反グリホサートの活動家でもあります。

徳本 グリホサートの安全性についても反対派とそうでない人は完全に対立してしまって、自分たちも議論が噛み合いません。対立をやわらげ解決に向かうにはどうすればいいのでしょうか。

唐木 解決に向かう方法は話し合いしかないと思います。お互いの考え方を十分に聞いて、正しい科学を基準に冷静な話し合いを重ねていく。そのときに誰と話し合うのかが肝心です。フェイクニュースを流してお金儲けをしようとしている人や団体は確信犯です。確信犯の人たちといくら話し合っても無駄ですから、フェイクニュースと本当のニュースを聞いてどっちが正しいのかわからない、どちらが正しいか迷っている人たち、あるいは向こう側に少し引きずられている人たちを相手に話し合いをするのです。そして「科学的に正しい考え方はこうなんですよ」というところで合意を得ていく。

徳本 僕らは「農業現場のリアルを発信する」というコンセプトで、2020年の春から現場の事実ベースで発信しています。農薬の問題に関しては、有機農法や自然農法など農業もいろんなジャンルがあります。有機農業は耕地面積では1%にも満たない小さなコミュニティで、農家個々の生産規模もとても小さいんですね。ただし、彼らの言ってることはすごく社会に拡散しやすい。一方で日本の食料の大半を担っている一般の慣行栽培農家の声はぜんぜん世の中に出ていかないのです。実際グリホサートの問題一つ取っても、便利で安全という現場のリアルな声は消費者に届いていません。

僕が今回この企画をさせてもらったのは、これから一般の農家がもっと事実ベースの声を上げていかないと、間違った情報が世の中を席巻してしまう。そうすると僕らがいくら正しい農薬管理をしていても風評被害のせいで、いろんな薬剤が使えなくなるリスクが現実のものになるかもしれない。その結果、食料の安定供給が脅かされ、食の安心安全も崩れてしまいかねない。最終的には消費者に返ってくる問題なんですよね。

唐木 今の社会にはいろんな対立があります。その対立の原因はけっこう感情的な対立が多いんですね。感情と感情をぶつけ合っても、決して解決にはならない。科学をもう少し取り入れて、感情だけでなく科学を基準にして冷静に議論したり対処したりしていく社会でありたいと思っています。

グリホサートの真実とは<2> -「食の安全」の世界的権威に聞いてみた!〜完全版

プロフィール

唐木英明(公益財団法人食の安全・安心財団理事長 東京大学名誉教授)
徳本修一(トゥリーアンドノーフ株式会社代表取締役)

 

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