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2. 食品添加物は基準に従って製造され、使用されている【食品添加物をめぐる重要な10項目】

食の疑問答えます

食品の安全性を確保するために、食品添加物には、必要に応じて成分規格や使用基準が定められている。食品製造業者は、「成分規格」に適合するように作られた食品添加物を、「使用基準」を守って使うことになっている。これら成分規格や基準は厚生労働省が定める「食品添加物公定書」に収載されている。
消費者が実際に摂取している食品添加物の量は、実際に売られている食品を購入して分析する「マーケットバスケット方式」 により調査し、ADIを超えないことが定期的に確認されている。


食品の安全性を確保するために、食品添加物には、必要に応じて成分規格や使用基準が定められています。食品製造業者は、「成分規格」に適合するように作られた食品添加物を、「使用基準」を守って使うことになっています。なお、これら成分規格や基準は「食品添加物公定書」に収載されています。

(1)添加物の品質を定めた成分規格

食品添加物に有害な不純物が含まれていると、その不純物によって健康に悪影響を及ぼす危険性があります。そこで、食品添加物の純度や添加物を製造するときに生じた副産物やヒ素、重金属など有害な不純物の上限値などの成分規格を定めています。この規格にあわない添加物を販売したり、使ったりすることはできません。食品添加物と一部の既存添加物について成分規格が食品添加物公定書に定められていますが、いわゆる天然添加物にはまだ公定の規格が存在しないものもあります。そこで、業界団体の日本食品添加物協会では、約200品目の既存添加物についても自主規格を定めています。

(2)使用量や使用目的を定めた使用基準

食品添加物の種類によっては、その食品添加物をたくさん含む食品を大量に食べると、健康に悪い影響が出る可能性があります。食品添加物では、どの食品にどのくらい使っていいのか、「使用基準」が定められています。

使用基準では、使用できる食品の種類や使用量、残存量、使用目的や使用方法が、安全性評価や有用性評価の結果に基づいて定められています。使用対象食品や最大使用量は、動物実験で求めた一日摂取許容量(ADI)に安全係数をかけ、日本人の各食品の摂取量などを考慮して決めます。たとえ使用基準の上限量の食品添加物を使用したとしても、ADIを超えないようになっています。

そのほか、食品添加物を製造するときの原料を制限する「製造基準」、食品添加物そのものの効果を保持するための「保存基準」が必要に応じて定められています。

(3)様々な項目がある安全性評価試験

食品添加物の安全性を評価するとき、マウスやラット、イヌなどの実験動物や微生物、培養細胞などを使って、毒性を調べる試験を行います(表3-1)。一般毒性試験では、実験動物に食品添加物を飼料に混ぜて繰り返し与え、生じる毒性を調べます。28日間反復投与毒性試験や90日間反復投与毒性試験、1年間反復投与毒性試験を行います。

特殊毒性試験では、実験動物に二世代にわたって食品添加物を与え、生殖機能や新生児の成育に及ぼす影響を調べる繁殖試験や妊娠中の実験動物に与え、胎児の発生・発育に及ぼす影響を調べる催奇形性試験、実験動物にほぼ一生涯にわたって与え、発がん性の有無を調べる発がん性試験を行います。また、アレルギーの有無を調べる抗原性試験や細胞の遺伝子や染色体への影響を調べる遺伝毒性試験を行います。

一般薬理試験では、中枢神経系や自律神経系に及ぼす影響や、消化酵素の活性を阻害し実験動物の成長を妨げる性質の有無などを調べます。体内での吸収・分布・代謝・排泄など、体内に入った物質が生体内でどうなるかを調べる体内動態試験も行います。

このように評価試験項目には、さまざまなものがあります。 食品添加物を新たに申請するときには、原則としてすべてのデータを提出しなければなりません。食品安全委員会が発行している「添加物に関する食品健康影響評価指針」を参照すると、詳細が書かれています。

表3-1 安全性を確認するための主な試験 (出典:(一社)日本食品添加物協会「もっと知ってほしい食品添加物のあれこれ」)

(4)食品添加物一日摂取量調査

食品添加物の安全性を確保するためには、消費者が実際に食品添加物をどれくらい摂取しているかを把握することも重要です。厚生労働省では、マーケットバスケット方式による食品添加物一日摂取量調査を定期的に行っています。マーケットバスケット方式とは、スーパーマーケットなどで売られている食品を購入し、その中に含まれている食品添加物の量を分析し、その値に国民健康・栄養調査に基づく食品の喫食量を乗じて食品添加物の摂取量を推定するものです。調査結果では、国民の食品添加物摂取量は安全性に問題のないことが確認されています。もしも過剰摂取などの問題が明らかになれば、食品添加物の基 準改正など必要な措置を講じることになっています。

※この記事は、NPO法人くらしとバイオプラザ21発行の「『メディアの方に知っていただきたいこと』シリーズ」にある「食品添加物編」を許可を得た上で転載したものです(一部AGRI FACTが再編集)。

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