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無責任な代議士たちのラウンドアップ批判【コラム】

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8月8日、衆議院会館で元農水大臣の山田正彦氏等が代表を務めるデトックス・プロジェクト・ジャパンが「ラウンドアップ(農薬・除草剤)規制についての緊急記者会見」を開いた。そこには川田龍平(立民)、大河原雅子(立民)、篠原孝(国民)、福島瑞穂(社民)の4人もいた。

調査結果の報告をした八田純人氏(農民連食品分析センター所長)によれば、国会議員23名を含む28検体の髪の毛をフランスのクズ・サイエンス社に検査依頼したところ、グリホサート関連の残留農薬が19名で検出され、うち定量限界以上に検出されたのは4名、グリホサートが分解排出された時の代謝物であるAMPA(アミノメチルホスホン酸)については2名であったという。また、検出値を定量できた4名のグリホサート検出値は最小145.8~最大791.0pg/mg(ピコグラム)であったと報告された。

質問はメディア関係者に限定され、検出されたグリホサートの検出値の科学的意味を問う質問が無いので、昆は以下の質問をした。

「検出された方で最大791ピコグラムという結果ですが、この数字についての評価、人体に影響する医学的あるいは科学的な評価として何か言えることはあるのでしょうか」と。

沈黙が続くので「ただ出ましたよというだけではしょうがないのでは(誤解を招くという意味)」とたたみかけると、八田氏がマイクを取り、「医学的な見地についてはこれから研究しなければならないのですが、……グリホサートは内分泌かく乱物質であると言われている……」と答えた。昆は「そういう報告もあるということであって、グリホサートが内分泌かく乱物質であると科学的に特定されているわけでないでしょう」と質したところ、今度は篠原氏がマイクを持って、「因果関係を100%証明することはできない。……だから、疑わしきは使用せずというのが一番良い」と暴論を吐く。さらに、「100%と言わずともこれ以上であればリスクが高いという言い方はできるのではないか」と食い下がったところ、福島氏がいかにも情緒的に“疑わしさは罰す”という予防原則論をまくしたてた。その疑いも科学的に断定されていない。

彼らがグリホサートの「発がん性」を言い立てる根拠としているは国際がん研究機関(IARC)がグリホサートを「おそらく発がん性がある」とされる「グループ2A」に分類したことにある。その分類には世界各国の農薬規制機関が否定している。仮にIARCの分類によるとしても、IARCは酒、タバコ、エックス線などに加えてハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉も「発がん性を示す十分な証拠がある」とされる「グループ1」に分類しているのである。だとしたら“疑わしき”ではなく明確な証拠のある加工肉を販売禁止にしなければならないのではないか。今回の発表者らが「予防原則の先進国」とありがたがるEU諸国でもそれはしていない。そんなことをしたら彼らの食生活が続かないからである。明確に発がん性があると認定されている加工肉が販売禁止にされず、ラウンドアップを販売禁止にせよという議論がいかに暴論であるかはこれによってわかるだろう。

しかし、彼らはグリホサートが内分泌かく乱物質であると言う。思い出してもらいたい。以前にも「環境ホルモン」が騒がれたことがあったが、いつの間にか問われなくなってしまった。科学的根拠のない風評を代議士が声高に叫ぶのは許せない。

『農業経営者』2019年9月号 No.282 「江刺の稲」から転載

筆者
昆吉則(株式会社農業技術通信社代表取締役兼『農業経営者』編集長)

 

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