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(妊娠中のラットへの投与試験で)「親や仔に影響がなく、孫の世代で、それも低用量でも胎仔の発育不良や胎盤形成異常が起こっています」と言われることがありますが、農薬登録にあたって同様の試験はされていないのでしょうか。また、孫の世代にだけに異常があることは起こりえるのでしょうか。
農薬登録ごとに試験が行われています。国の専門機関「食品安全委員会」が実施主体となっています。こうした試験は「繁殖毒性試験」と呼ばれています(※)。
食品安全委員会の「グリホサート評価書」によれば、ラットを使用した2世代と3世代の繁殖試験をした結果、親・子世代の繁殖能力に影響はなく、3世代でも毒性所見の発現も認められていません。
もし異常が確認されれば、その化学物質を農薬として使用することは禁止されることになります。3世代を経ても繁殖毒性が発現しなければ、それ以上世代を繰り返して試験を継続しても悪影響が現れることは理論的にはあり得ず、これは実験上も確認されています。
また、孫世代に異常が出るのは「化学物質により遺伝子に異常が起きた場合」です。グリホサートにはそのような作用がないことが複数の遺伝子毒性試験により証明されています。
しかし、なぜこのような主張があるのでしょうか。
これはごく一部の科学者が主張している、グリホサートは何世代か後にエピジェネティックな(従来の遺伝子の動きではなく、遺伝子を制御する部分の働きの異常)影響が出るというものです。その主張の前提となっている実験は特殊なものであり、科学的に正しいという検証を受けていません。
何が特殊かといえば、彼らの実験におけるグリホサートの投与経路が「腹腔内投与」となっている点です。繁殖毒性試験では、グリホサートを腹腔内に注射されることはありません。そのため、その特殊な実験から、人の健康に及ぼる影響について何も証拠は得られていません。
※「繁殖毒性試験」とは:
ラットやマウスなどに化学物質を一定期間投与した後で交配し、親動物の繁殖能力と児動物の発育状況を検査する一世代繁殖試験、さらに投与を継続して孫世代の動物の発育状況まで調べる二世代繁殖試験により、化学物質の作用が調べられます。二世代繁殖試験では、子世代の動物が孫世代の動物を支障なく出産し、児動物が正常に育つことを確認するので、3世代にわたる影響を調べることになります。
参考
※週刊新潮ファクトチェックより抜粋