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なぜ農薬は医療品と比べて必要な試験が少ないのですか? この試験で、子どもやお年寄りなどに影響がないと言えるのですか?
A 医薬品は治療効果を得るために、「体に明らかな影響が出る多量」を使います。そのため副作用がない医薬品はありません。副作用の種類と大きさなどのデメリットを見極めるため、数多くの試験が必要です。これらの試験によりメリット(治療効果)よりデメリット(副作用)が大きいと判断された場合は、医薬品として認可されません。
一方で食品や水の残留農薬の量は、「体に何の影響もない量」を基準にしています。そのため農薬の承認に必要な試験は、どの程度の量なら「体に何の影響も出ない量」かを調べるため、医薬品に比べて試験数は少ないのです。ただし発がん性が疑われるものに関しては、量で規制するのではなく、全て禁止にします。このように「農薬はデメリットがあれば、全て禁止」という原則があり、医薬品のようにデメリットがあっても認可されることはありません。つまり農薬は、認可されている量や使用方法を守れば、安全だと言えます。
注:商品名『ラウンドアップ』の有効成分名は「グリホサート」と言い、Q&Aでは2つの名称をその都度使い分けていますが、実質的には同じものだとご理解ください。
回答者唐木英明(公益財団法人食の安全・安心財団理事長・東京大学名誉教授) 回答日2020年3月20日 |