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ラウンドアップの安全性について:よくあるご質問(FAQ)
- Q ラウンドアップはなぜ安全と言えるのですか?
- Q 世界の規制機関がラウンドアップの安全を確認したにもかかわらず、毒性学的手法を使った学者の論文のなかに発がん性との関連ありとする論文があるのはなぜですか?
- Q 疫学調査では発がん性と関連があるという論文が出ているのはどうしてですか?
- Q 国際がん研究機関(IARC)が“おそらく発がん性がある”グループ2Aに分類しています。やはり安全とは言えないのではないですか?
- Q 米国のラウンドアップ裁判でも、カリフォルニア州の裁判所が発がん性を認めたのではないですか?
- Q 米国環境保護庁(EPA)はラウンドアップを安全と言っていますが、企業や政治の意向で真実を曲げているとは考えられませんか?
- Q ラウンドアップが危険と安全だという意見のどちらが正しいのですか。科学の世界では結論が出ているのでしょうか?
Q ラウンドアップはなぜ安全と言えるのですか?
A 化学物質の安全性を検証する世界共通の方法は「毒性学」で、日本の食品安全員会、米国環境保護庁(EPA)、欧州食品安全機関(EFSA)、世界食料機関(FAO)、世界保健機関(WHO)をはじめ、世界の各国の規制機関(※)が採用しています。
毒性学による検証手法はリスク分析法や規制科学とも呼ばれ、細胞レベルから実験動物レベルまで多くの試験を行って人体への安全を確認する方法です。とくに発がん性試験は厳しく行われています。
これらの試験で得られた安全な量に、さらに安全係数をかけて、人での安全な量を計算します。
世界の規制機関は、この毒性学的手法により人体への安全が確認された化学物質しか農薬や食品添加物としての使用を認めていません。
ラウンドアップの安全性は毒性学的手法により確認され、その使用は世界の規制機関から認められています。
(※)ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、カナダ保健省病害虫管理規制局(PMRA)、オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)、ニュージーランド環境保護局(NZ EPA)など
Q 世界の規制機関がラウンドアップの安全を確認したにもかかわらず、毒性学的手法を使った学者の論文のなかに発がん性との関連ありとする論文があるのはなぜですか?
A たしかにラウンドアップの毒性を調べた数多くの論文のなかには、発がん性と関連があるとする論文があります。
論文が正しいかどうかは「方法の適切さ」と「結果の再現性」の検証で決まります。方法の適切さは、科学の常識に従った方法を使っているのかで評価されます。
再現性とは、第三者がその研究で使用された材料・方法などを用いて同じ実験を繰り返し行った場合に、元の研究者が行ったときと同様の結果が出るのかを検討するもので、同じ結果が出て初めて「再現性がある=正しい」と判断されます。さらに、全く別の実験方法を使って、元の論文と同じ結論が得られるのかも重要な検証方法です。
世界の規制機関はこのような観点ですべての論文を十分に検討した結果、発がん性と関連があるとする論文は、方法論と再現性の点で問題があるとされ、ラウンドアップと発がん性に関連はないという結論を出しています。
Q 疫学調査では発がん性と関連があるという論文が出ているのはどうしてですか?
A 疫学調査の検証手法は、人の生活習慣と病気の関係を調査する方法です。ところが、人の生活習慣は実に多種多様であるため、一つの要因を病気の原因として確定することはとても難しいという疫学調査ならではの制約があります。
この制約は「相関関係と因果関係」の問題として知られ、例えば疫学調査で「薄毛の人の多くは養毛剤を使っていた。だから薄毛の原因は養毛剤である」といった間違った結論を導き出す可能性があるのです。
疫学調査でラウンドアップと発がん性の関連を示唆する論文は存在しますが、方法論に疑問点があったり、別の実験方法によりその結論が裏付けられなかったなどの問題があります。
では、疫学調査の結果が正しいかどうかはどうやって検証するのでしょうか。
それにはやはり毒性学的手法を用います。毒性学的手法によって検証し、「発がん性と関連がある」という疫学調査の結果が裏付けられて初めて結論が確定します。
疫学調査は食品の安全を確認する方法としてはあくまで参考資料であり、世界の規制機関も疫学調査だけで安全性を確定することはしていないのです。
Q 国際がん研究機関(IARC)が“おそらく発がん性がある”グループ2Aに分類しています。やはり安全とは言えないのではないですか?
A 誤解している人が多いのですが、IARCの分類は「科学的根拠の強さ」、わかりやすく言うと「発がん性が疑われると結論付けた論文がある」と言っているだけです。
そうした論文の数が一番多いものがグループ1、その次に多いものをグループ2に分類しているということです。決して実際の発がんリスクの高さ(発がん性の強さの証明)を分類したものではありません。
私たちが普段から口にする加工肉や赤身肉、あるいは理容業などと発がん性を結び付けている分類の中身を見れば、実際にそれでがん患者が出ているということではないことがよくわかると思います。
また、分類に使用した論文の中には方法論や再現性の点で疑問があるものが含まれているという批判もあります。ラウンドアップについては「発がん性はない」として多くの批判が出され、加工肉と赤身肉についても「発がん性は認められない」という論文が出されました。
要は「そういう論文があるから気をつけましょう」という程度の予防措置だと理解してください。
参考 国際がん研究機関(IARC)の分類表(一部)
グループ1 | 人で発がん性あり | ピロリ菌、放射線、太陽光、紫外線、アルコール飲料、加工肉(ハム、ソーセージなど)、たばこ、塗装業など120 種 |
グループ2A | おそらく発がん性あり | グリホサート、赤肉(牛肉、豚肉など)、熱い飲み物、美容・理容業など82 種 |
グループ2B | 発がんの可能性あり | ワラビ、カフェ酸、鉛、メチル水銀、ガソリン、ドライクリーニング業など311 種 |
グループ3 | 分類できない | 塩酸、過酸化水素、コーヒー、茶、染髪製品など500 種 |
Q 米国のラウンドアップ裁判でも、カリフォルニア州の裁判所が発がん性を認めたのではないですか?
A 米国の裁判では、カリフォルニア州で提訴された「ジョンソン対モンサント裁判」や、農業従事者の夫婦ががんの原因がラウンドアップだとしてモンサントを訴え20億ドル(その後大幅に減額)の賠償判決が出た裁判など、勝訴判決が下されているのは事実です。
しかしこれらの判決は、原告側弁護士の巧みな法廷戦術によって陪審員がIARC報告を発がん性の証明と誤解をした結果であり、科学的な知見に基づく判断ではありません。
そもそも原告側勝訴の裁判は民事訴訟ですから、訴えた患者側と訴えられたモンサント側のどちらの言い分が正しいかを51%対49%の心証割合で判断します。刑事事件のように99%の有罪立証は必要ないのです。
その基準にそって、個人の観察力と倫理観(感情)で判断したものです。陪審員は患者側とモンサント側の言い分のどちらが信じられるのかを判断したのであり、ラウンドアップの発がん性について判断したのではないのです。
また、別の米国裁判所の判決ではラウンドアップの発がん性リスクは証明されていないという判決も下されています。
Q 米国環境保護庁(EPA)はラウンドアップを安全と言っていますが、企業や政治の意向で真実を曲げているとは考えられませんか?
A ご指摘の通り、米国、あるいは日本でも、たばこ産業を支持する政治家が現実にいて、政治家の活動によりたばこ規制の強弱が生じることから、そのような疑問を持つ人もいるでしょう。
しかしラウンドアップについては、米国のEPAに限らず、欧州や日本の規制機関も同じ結論を出していますし、世界の毒性学者も規制機関の判断を支持しています。世界の規制機関は科学的な事実に基づいて、中立・公正な判断をしています。
逆に、一部の国や地方自治体の政治家は、消費者の不安を解消するという理由で、科学を無視したラウンドアップの規制を行っています。政治家は民意を大事にしますが、科学者は事実を大事にします。そこに大きな違いが生まれているのです。
Q ラウンドアップが危険と安全だという意見のどちらが正しいのですか。科学の世界では結論が出ているのでしょうか?
A 安全というのが国際的な科学の世界の結論です。なぜなら国際的に化学物質の安全を確認する方法として認められているのは「毒性学」であり、その毒性学的手法では安全と評価されているからです。
毒性学者は疫学調査に関しては、あくまで参考情報として取り扱うものにとどめています。ただ、率直に言って発がん性との関連を疑う疫学者と毒性学者の話し合いは不十分であり、今後、消費者の不安を取り除くために両者が統一見解を出すことが望ましい。それは科学者の責任であると思います。
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