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種子法のどこが時代遅れになったのか?
A 自民党のプロジェクトチームや政府の規制改革推進会議で議論された問題点には、次のようなものがありました。
問題は大きく分けて3つ
1. 種子法の枠組みが都道府県の販売戦略と結びついた結果、家庭用需要に合った同じような品種改良が目指され、味がよくて高単価の「ブランド米」が全国各地に誕生しました。ところが、そのうちわずか10銘柄で作付面積の8割を占め、他県で開発された米を奨励品種に設定している県も多いです。なかには、ほとんどの開発品種が実際には生産されていない県もあります。
2. 米の需要は全体として低下傾向が続き、家庭用需要が大きく減少していますが、外食や中食などの業務用の需要は増えています。事業者の多くは安価な業務用米を必要としており、コシヒカリのようなブランド品種を使う事業者は少数です。国や民間企業は業務用に向く米も開発していますが、都道府県の奨励品種には指定されませんでした。これは都道府県が高価格の家庭用米だけに目を向けていたためで、この需給のミスマッチを改善しない限り、一層の需要減につながりかねません。
3. 都道府県は自分たちが開発した品種を奨励品種にする傾向が強く、民間企業が開発した優良な品種はほとんど採用されないため、民間企業は開発意欲がわかず、力を活用できないのも問題点のひとつでした。
※本論説は朝日新聞DIGITAL「論座」に2018年8月20日付で掲載されたものを転載(一部改変)
回答者唐木英明(公益財団法人食の安全・安心財団理事長・東京大学名誉教授) |