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GM反対派と農薬反対派が手を組みラウンドアップ攻撃を開始 – グリホサートの真実とは2【完全版】(vol.1)

食と農のウワサ

生産現場のリアルな声を発信する日本有数の農業チャンネル「トゥリーアンドノーフ」を運営する徳本修一氏が、グリホサート問題の歴史的経緯から背後で蠢くビジネス人脈、科学的評価や対立の解決法まで、食の安全安心の権威・唐木英明氏に聞きまくった1時間。グリホサートの真実とは2【完全版】をAGRI FACT用に再構成してここにお届けする!(vol.1)

GM反対派と農薬反対派が手を組みラウンドアップ攻撃を開始

徳本 なぜ無数にある農薬のうち、特定の除草剤「ラウンドアップ(有効成分グリホサート)」だけが攻撃されるのか。ラウンドアップは私ら農家が古くから使っている除草剤で、もっとも使用量の多い除草剤です。攻撃される背景や理由からお願いします。

唐木 答えは歴史の中にあり、ラウンドアップの歴史は三つの時代に分けられます。最初の時代が1974年から1996年までの約20年間で、74年にラウンドアップが安全で優れた除草剤として許可され世界中に普及しました。その運命が変わったのが1996年以降です。1996年というのは遺伝子組み換え作物(GMO)の商業栽培が始まった年です。

遺伝子組み換え作物は、「害虫抵抗性」と「ラウンドアップ抵抗性(ラウンドアップ耐性)」の二種類が主流なんですね。ラウンドアップ耐性とは、ラウンドアップを散布すると雑草は全部枯れるけれどもGMOだけは枯れない性質を備えていることから、有用な作物として世界中に広がりました。そして現在ではGMOの8割がラウンドアップ耐性といわれています。ということは遺伝子組み換え(GM)反対派の人は、もしラウンドアップを禁止できればGMOの8割を実質禁止にできる、と考えて戦略を立てたわけです。そこでGM反対派と農薬反対派の勢力が手を組み、「ラウンドアップは危険だ」という情報を積極的に流し始めました。もちろん科学的な根拠はありません。これが1996年から2015年までの20年間続きました。

さすがに20年間も風評を流されるとラウンドアップに悪い評判が徐々についてしまいます。これに決定的な影響を与えた出来事が2015年3月の国際がん研究機関(IARC)が、ラウンドアップの有効成分であるグリホサートをグループ 2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に分類したことです。

IARCの評価を受けて、すぐに米国の法律事務所が製造元モンサント(現バイエル)を相手取って裁判を起こすことを決め、原告の一般公募を始めました。「あなたはラウンドアップを使ったことがありますか?」「あります」「がんの原因をラウンドアップのせいにすると高額の賠償金が得られます」ということで何万人という単位の原告を集めて裁判を起こし、判決が出た3件では何百億円から何千億円もの高額の賠償が認められました。

そのニュースが世界中に広まり、「やはりラウンドアップは危険」だというふうにみなさんが思ってしまった。ですから最初は何の問題もなく安全に使われた20年、その後の20何年の間に濡れ衣を着せられ、風評被害の犠牲者になったというのがラウンドアップ(有効成分グリホサート)の歴史ということです。

さらに理解を深めたい場合は

グリホサートの真実とは<2> -「食の安全」の世界的権威に聞いてみた!〜完全版

 

【グリホサートの真実とは2】記事一覧

プロフィール

唐木英明(公益財団法人食の安全・安心財団理事長 東京大学名誉教授)
徳本修一(トゥリーアンドノーフ株式会社代表取締役)

 

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